小売電気事業者が地域で連携、営業力と供給力を補完して全面自由化へ電力供給サービス(1/2 ページ)

鳥取市の「とっとり市民電力」が伊藤忠エネクスと提携して供給力の確保に乗り出した。複数の小売電気事業者を組み合わせた「バランシンググループ」を形成して電力の安定供給を図る。太陽光や風力などの再生可能エネルギーを供給しながら、複数の事業者で需給バランスを調整する体制だ。

» 2016年01月25日 13時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]

 「とっとり市民電力」は鳥取市と鳥取ガスが2015年8月に共同で設立した。2016年4月の小売全面自由化を機に市内の公共施設から電力の供給を開始して、徐々に家庭や企業を含めて販売先を拡大していく計画だ。販売する電力の調達や需給管理を伊藤忠エネクスに委託する(図1)。

図1 業務提携による事業スキーム。出典:とっとり市民電力、伊藤忠エネクス

 鳥取市はエネルギーの地産地消を目指して市民電力を発足させた後に、2015年12月には地元企業6社と共同で「とっとり環境エネルギーアライアンス」を設立している。太陽光発電やバイオマス発電など地域の再生可能エネルギーで作った電力を市民電力に供給することが目的だ(図2)。

図2 鳥取市のエネルギー地産地消を推進する体制。出典:鳥取市役所 

 ただし再生可能エネルギーだけでは供給力が限られるうえに、太陽光発電は気候による出力の変動が生じるため安定供給に難点がある。伊藤忠エネクスと提携することで電源を増やせるのと同時に、小売電気事業者に求められる需給管理や販売管理の業務を委託して効率的に事業を展開できるメリットがある。

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