水道設備を利用して再生可能エネルギーの導入に取り組んできた東京都の水道局が新たに水素エネルギーの活用にも取り組む。2月2日に「WATER & TOKYO 東京水道イノベーションプロジェクト」を開始して11の施策に乗り出した。そのうちの1つが水素の製造だ(図1)。
東京都の水道局が埼玉県内で運営する「朝霞(あさか)浄水場」の敷地内で2016年度から実証研究に取り組む。朝霞浄水場には水を処理する工程で必要な消毒剤の次亜塩素酸ナトリウム(NaCIO)を製造する設備がある。食塩水(NaCl)を電気分解して製造する方法だが、その時に副生物として水素ガス(H2)が発生する(図2)。現在は発生した水素ガスを不要な副生物として、低い濃度で大気中に放出している。
2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、国を挙げて水素エネルギーの活用に取り組んでいく中で、浄水場で発生する水素ガスも貴重な資源になる。新たに開始したイノベーションプロジェクトでは、水素ガスを回収・貯蔵・運搬する仕組みを構築する予定だ。水素ガスは圧縮するか液化した状態で水素ステーションまで運ぶ。
東京オリンピック・パラリンピックの開催中には、数多くの燃料電池車と燃料電池バスが選手や大会関係者の移動に使われる(図3)。浄水場で製造した水素を東京都内の水素ステーションで供給できると、化石燃料に依存しないCO2フリーの水素を使って燃料電池車や燃料電池バスを走らせることが可能になる。
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