2016年度は国内空調需要が盛り上がる、波に乗りたいメーカー各社の切り札省エネ機器(1/3 ページ)

2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けた建設需要や、増税前の駆け込み需要の増加により、2016年度の国内空調市場は活性化する見通しだ。これに向け空調機器の展示会「HVAC&R JAPAN2016 冷凍・空調・暖房展」では、国内メーカー各社が注力製品を一堂に披露した。

» 2016年03月02日 09時00分 公開
[長町基スマートジャパン]

 東京ビッグサイトで2016年2月23〜26日の4日間開催された「HVAC&R JAPAN2016 冷凍・空調・暖房展」(日本冷凍空調工業会主催)で、各空調機器メーカーは主力製品を一堂にアピールした。空調機器の2015年度の国内市場は、家庭用エアコン、業務用エアコンは前年実績を割り込んでいるが、GHP(ガスヒートポンプエアコン)チリングユニット、大形冷凍機(吸収式/遠心式)は上回る見通しだ。

 また、2016年度は東京オリンピック向け需要の本格化や、国の補助金制度、2017年4月予定の消費税改定を前にした駆け込み需要が期待されるなど、市場の活性化が見込まれている。今回の展示会で各社は拡大する需要獲得を目指してさまざまな製品を披露した他、最新のソリューションを訴求した。

活性化が見込まれる2016年度の国内空調市場

 日本冷凍空調工業会がこのほどまとめた「冷凍空調機器の中期需要予測」によると、2015年度の主な空調機の国内出荷数量見込みは家庭用エアコン(ルームエアコン)が803万6000台(前年度比1%減)業務用エアコン77万9708台(同7%減)、GHP(ガスヒートポンプ)エアコン3万646台(同4%増)、チリングユニット1万3100台(同4%増)、大型冷凍機/吸収式1578台(同4%増)、大型冷凍機/遠心式279台(同9%増)となっている(図1)。

図1 冷凍空調機器の国内出荷数量実数と今後の予測値(クリックで拡大)出典:日本冷凍空調工業会

 家庭用エアコンが暖冬など天候の影響で前年割れとなり、業務用エアコンも3年ぶりに80万台を割り込む見通しだ。一方で大型空調機器は全般的に堅調な伸びをみせている。2016年度については家庭用エアコンが消費税引き上げ前の駆け込み需要が見込まれ826万台と同3%増を予想している。

 業務用エアコンも法規、補助制度などによるリニューアル需要の活性化や、東京オリンピック関連需要の本格化への期待から84万910台(同8%増)と伸長を予想する。その他GHPエアコンは3万1308台(同2%増)、チリングユニット1万3768台(同5%増)、大型冷凍機/吸収式1615台(同2%増)、大型冷凍機/遠心式274台(同2%減)となっている。

 業務用エアコンの出荷などが伸びる一因となる国や自治体からの補助制度は各種あるが、その中でも経済産業省の「中小企業等の省エネ・生産性革命投資促進事業」は予算額が442億円と大きいこともあり業界内でも特に注目されている。中小企業における省エネ効果が高い設備への更新を重点的に支援するもので、設備費の3分の1以内の補助がある。対象となる設備は高効率空調をはじめ産業用ヒートポンプ、高効率照明、FEMS(ファクトリー・エネルギー・マネジメント・システム)などだ。

 また、東京オリンピック関連需要では、その1つに観光客の増加に伴うホテルの建設、リニューアル需要の拡大がある。2015年の訪日外国人旅行者数は1973万人(前年比47.1%増)と過去最高となった。急速に増加する観光客に対応する宿泊場所の不足が指摘されており、それに伴う、ホテル建設・リニューアルなどの関連需要の拡大は既にみられる。政府はオリンピックが開催される2020年には3000万人を目標としており、このホテル関連需要にはさらに伸びると期待される。

 こうした市場動向を背景に、「HVAC&R JAPAN2016 冷凍・空調・暖房展」で空調メーカー各社は新年度に向け主力商品を一堂にアピールしている。

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