板紙の生産工場で木質バイオマス発電、電力の2割をCO2フリーに自然エネルギー(1/2 ページ)

100年以上前に日本で初めて段ボールを生産したレンゴーが全国各地の工場に再生可能エネルギーを拡大している。新たに埼玉県の板紙生産工場に木質バイオマス発電設備を導入して運転を開始した。発電能力が9MWの大規模な設備で、工場内で使用する電力の2割を供給できる。

» 2016年03月10日 07時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]

 段ボールや板紙で最大手のレンゴーは埼玉県の八潮市(やしおし)にある工場に木質バイオマス発電設備を導入した。八潮工場は段ボールなどの素材になる板紙を年間に80万トン生産する日本で最大の板紙工場だ(図1)。

図1 八潮工場の全景(左)、生産設備(右)。出典:レンゴー

 導入したバイオマス発電設備は建築廃材から作った木質チップを主燃料に利用して、9MW(メガワット)の発電能力がある(図2)。年間に320〜330日の稼働を予定している。1日24時間の連続運転を実施すると、年間の発電量は約7000万kWh(キロワット時)にのぼる。

図2 八潮工場に導入した木質バイオマス発電設備。出典:レンゴー

 発電した電力は売電しないで工場内で使用する。八潮工場で消費する電力の約2割を供給できる。生物由来の木質バイオマスを燃料に使うことによって、CO2(二酸化炭素)の排出量を年間に約6万5000トン削減できる見込みだ。

 八潮工場のCO2排出量は2014年度の実績で20万5000トンだった(図3)。木質バイオマス発電の導入効果でCO2排出量が一気に3割も減る。基準年の1990年度の排出量と比較して60%近い削減率になる。

図3 八潮工場のCO2排出量の推移。出典:レンゴー

 この工場では10年前の2006年にもバイオマス発電設備を導入している(図4)。製紙の工程で発生するペーパースラッジと呼ぶ廃棄物を燃料に利用できる発電設備だ。発電能力は4.2MWで、年間に4200トンのCO2排出量を削減する効果がある。

図4 2006年に稼働したバイオマス発電設備。出典:レンゴー
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