風力の発電量は風速に比例して増えるため、設備利用率は年間の平均風速からおおむね予測できる。平均風速が7メートル/秒の場合には、設備利用率は32.3%になるのが標準的である(図8)。ただし発電量には風向が影響を与えるほか、洋上では波や潮による発電設備の揺れも影響を及ぼす。
2つの地域の観測データを比較してみると、風向に大きな違いがある。銚子沖では南北方向に吹く風が多いのに対して、北九州市沖では東西方向の風が多いものの各方向からまんべんなく吹いている(図9)。
風向が変動すると風車の回転速度が遅くなって発電量が減ってしまう。北九州市沖で設備利用率が30%を下回った理由の1つは、風向のばらつきにあると考えられる。それでも30%に近いレベルの設備利用率を得られたわけで、洋上風力の発電効率の高さを示している。日本の近海における洋上風力発電の拡大に期待がもてる結果である。
NEDOは2017年3月まで銚子沖と北九州市沖の実証設備を運転する予定だ。その間に得られた観測データは随時公開する。2014年以降の結果が加わると、洋上風力発電の効果がいっそう明確になる。
洋上風力発電が近海に広がる、着床式で全国15カ所へ
国内初の洋上風力発電設備が完成、高さ126メートルの風車が動き出す
洋上風力発電の実用化を着床式で加速、国の助成先が4地域の港にCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
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