経済産業省は事故などが増えている太陽光発電設備の規制を強化する方針だ。報告義務の強化や、FIT認定取り消しなども含んだ対策に乗り出していく。
経済産業省は2016年3月22日に開催した産業構造審議会 保安分科会 電力安全小委員会で、事故が増えている太陽光発電設備の安全性について規制を強化する方針を示し、事前・事後の規制強化案を示している。
メガソーラーなど事業用の太陽光発電設備による重大事故(感電死傷事故や500キロワット以上の設備破損など)の報告については少なく2004〜2013年の10年間での事故報告は12件(平成25年度電気保安統計)にとどまる。一方で、最近増えているのが、自然災害の影響による小規模設備での損壊事故である(図1)。
2015年8月の九州の台風15号による被害については、九州産業保安監督部が管内の全ての太陽光発電設備(50kW以上、合計3162件)について被害状況のアンケート調査を実施したが、有効回答数3046件中138件(約4%)で何らかの被害が発生。さらにこの内81件については発電設備そのものに被害があったとしている(図2)。
さらに追加調査を行い、発電設備の被害にあった79件(81件中1件は追加調査に未回答、1件は事故以前のモジュール故障が原因)の内、約7割については、構造面での問題が発生して約4割でパネルの脱落や飛散が発生した。特に2MW(メガワット)未満の設備において大量のパネル脱落や飛散を伴う損壊事案が発生しており、500〜2000kWクラスの設備での被害が多かった(図3)。
この中では設計・施工状況での不備が見つかるケースもあったという。追加調査の中で、大半の事業者は「技術基準に基づく設計・施工確認を行っている」と回答している。しかし、約2割で設計基準風速の不足や、強度計算が未実施だった場合が生まれている。これらの不適切な設計と施工の結果、架台の倒壊などによる大規模なパネル脱落や飛散につながっているという(図4)。
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