ドローンで太陽電池を守る、空からホットスポットを検知し即日共有太陽光(1/2 ページ)

ソフトバンク・テクノロジー、エナジー・ソリューションズ、サイバートラスト、M-SOLUTIONSの4社は、ドローンとクラウド技術を使って太陽電池の赤外線検査を行うシステムのプロトタイプを開発した。サービス提供は2016年8月を予定している。

» 2016年04月22日 13時00分 公開
[三島一孝スマートジャパン]

 2012年のFIT(固定価格買取制度)開始以降、日本でも太陽光発電設備の設置が増え、普及が進んだ。しかし、FITの買取価格低減やメガソーラーの最適立地の減少などが進む中、今後は建設した太陽光発電設備をいかに正しく運用し、高い発電量を維持していくかという視点が重要になってきている。この流れの中、経済産業省 資源エネルギー庁でも保守点検を強化するような方針を示しており、いかに効率よく大きな敷地の太陽光発電設備の保守・点検を実現するかが重視されるようになってきた。

 今回のソフトバンク・テクノロジー、エナジー・ソリューションズ、サイバートラスト、M-SOLUTIONSの4社による協業も、これらの状況に対応するためのものである。

 ソーラーモジュール(太陽光発電パネル)の故障原因としてよくあるものに「ホットスポット」と呼ばれる現象がある。これは、製造時のはんだ不良などの不具合や、落ち葉など異物の付着が原因となり、その部分が発熱してモジュールが破損する現象である。ホットスポットにより線が焼き切れた場合にはそのストリング(1系統)で全く発電できないという状況に陥るケースもあり異常発生時に迅速に対処することが重要である。

 ホットスポットとなっている部分は、周辺よりパネル温度が高温になっているため、赤外線(IR)カメラを利用することで発見できる。赤外線カメラの検査により、ホットスポットを早期発見することで、発電量の低下やソーラーパネルの交換コストを抑制することが可能となる(図1)。

photo 図1 赤外線カメラで見えるホットスポットの場所 出典:ソフトバンク・テクノロジー

ドローンとクラウド、赤外線検査を組み合わせた保守・点検

 今回4社が協業したのは、この赤外線カメラをドローンに載せ、クラウドコンピューティングと組み合わせることで、ドローンの自動飛行や点検結果の即日共有などを実現するシステム「ドローン&クラウド ソーラーモジュールIR検査システム」の開発のためである(図2)。

photo 図2 ソーラーモジュール検査サービスの全体イメージ(クリックで拡大)出典:ソフトバンク・テクノロジー

 同システムは、クラウドからドローンをコントロールするドローンステーションに航路情報や発電所情報、検査結果情報などを送り、その情報をもとに赤外線カメラを搭載したドローンを自動航行させ、撮影する。このドローンの空撮情報や位置情報、赤外線サーモグラフィー情報などを逆にドローンステーションからクラウドに送り、その結果を分析して、モジュールの検査報告書を作り、オーナーや管理者などの判断材料とする。

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