日本産の天然ガス100%の火力発電所、年間20万世帯分の電力を2018年から電力供給サービス(1/2 ページ)

国内で最大級のガス田がある新潟県の長岡市で国産の天然ガスを100%燃料に使った火力発電所の建設計画が動き出した。発電能力は8万5800kWで、2018年7月に運転を開始する予定だ。年間に最大で20万世帯分の電力を供給できる。新電力でシェア2位のF-Powerが全量を買い取る。

» 2016年04月27日 07時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]

 火力発電の問題点はCO2(二酸化炭素)の排出量が多いことに加えて、燃料を海外に依存していることにある。この2つの問題を解消する火力発電所が新潟県の長岡市に誕生する。電力に特化した投資ファンドを運営する大和証券系のIDIインフラストラクチャーズが「長岡火力発電所」の建設計画を決めた(図1)。

図1 「長岡火力発電所」の建設予定地。出典:長岡市商工部、長岡火力発電所

 建設予定地は長岡市が開発した「西部丘陵東地区」の産業ゾーンにある1万7000平方メートルの区画だ。この場所から南へ5キロメートルほど離れた一帯の地中には、日本で最大の天然ガス生産量を誇る「南長岡ガス田」が広がっている(図2)。ガス田の生産設備から南北にパイプラインが延びているため、長岡火力発電所では近くを通るパイプラインから国産の天然ガスを燃料として利用できる。

図2 「西部丘陵東地区」の周辺地域。出典:長岡市商工部

 発電能力は8万5800kW(キロワット)を想定している。火力発電所としては中規模だが、年間に340日稼働すると7000万kWh(キロワット時)を超える電力を供給することが可能だ。一般家庭の使用量(年間3600kWh)に換算して約20万世帯分に相当する。長岡市の総世帯数(10万世帯)の2倍に匹敵する電力量になる。

 長岡火力発電所は4月中に造成工事を開始して、1年後の2017年4月に発電設備の建設工事に着手する。運転開始は2018年7月を予定している。発電能力が15万kW未満の火力発電所には環境影響評価の手続きが不要なため、建設計画の決定から運転開始まで2年強で完了する早さだ。

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