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» 2016年05月10日 09時00分 公開

日本海に洋上風力発電が広がる未来、地熱とバイオマスでも電力を増やすエネルギー列島2016年版(5)秋田(3/4 ページ)

[石田雅也,スマートジャパン]

間伐材と食品廃棄物からバイオガス発電

 地熱発電よりも短期間に開発できるバイオマス発電では、新しい方式による試みが北部の北秋田市で始まろうとしている。地域の特産品を販売する「道の駅」にフィンランド製の木質バイオマス発電装置を導入して、再生可能エネルギーの地産地消を推進する計画だ(図10)。

図10 北秋田市の位置(左)、木質バイオマス発電装置を導入する「道の駅たかのす」(右)。出典:北秋田市役所、電現ソリューション

 この木質バイオマス発電装置は小型のユニットの内部でガスを発生させて電力と温水を作ることができる。装置の大きさは長さ4.8×高さ2.5×幅1.2メートルで、室内に設置することも可能だ(図11)。北秋田市の「道の駅たかのす」では発電装置をコンテナに収容したうえで、駐車場の一角に置いて5月中に運転を開始する。

図11 「道の駅たかのす」に設置する木質バイオマス発電装置(上)、内部の構成(下、画像をクリックすると拡大)。出典:電現ソリューション

 発電能力は40kW(キロワット)で、年間に31万kWhの電力を供給できる。87世帯分の使用量になり、道の駅で消費する電力の大半をまかなえる見込みだ。さらに発電に利用するガスを発生させた時の熱を使って温水も供給する。温水の供給能力は電力に換算すると100kW分になる。燃料の木質チップは1日あたり1トンを消費する。

 秋田県の内陸部に広がる北秋田市は面積の85%を森林が占めていて、秋田スギの一大生産地を形成している。森林では間伐などを通じて大量の残材が発生するため、木質バイオマス発電を通じて資源を有効に活用できれば、地域の林業の活性化にもつながる。

 バイオマスからガスを生成して発電に利用する取り組みは、秋田市の生ごみ処理施設でも始まる。日立造船が中心になって秋田市内に設立したナチュラルエナジージャパンが「秋田メタン発酵ガス化バイオマス発電所」を建設中だ(図12)。地元のホテルや飲食店などが排出する食品廃棄物を収集して、メタン発酵によってバイオガスを生成してから発電に利用する。

図12 「秋田メタン発酵ガス化バイオマス発電所」の完成イメージ(上)、原料の食品廃棄物(下)。出典:ナチュラルエナジージャパン

 発電能力は740kWで2017年7月に運転を開始する予定だ。1日あたり50トンにのぼる食品廃棄物を使って年間に523万kWhの電力を供給できる。一般家庭で1450世帯分に匹敵する。従来はコストをかけて焼却処理してきた大量の食品廃棄物から再生可能エネルギーを作り出せるメリットは大きい。

 発電した電力は固定価格買取制度を通じて東北電力に売電する方針だ。メタン発酵によるガス化発電の買取価格は1kWhあたり39円(税込み)になり、年間の売電収入は2億円を見込める。買取期間の20年間の累計では40億円にのぼる。一方で発電所の建設費は30億円を想定している。運転維持費を抑えれば、十分に採算をとることができる。

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