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» 2016年05月10日 09時00分 公開

日本海に洋上風力発電が広がる未来、地熱とバイオマスでも電力を増やすエネルギー列島2016年版(5)秋田(2/4 ページ)

[石田雅也,スマートジャパン]

地熱発電所の開発計画が3地域で進む

 秋田県では2016年度から風力をはじめ地域のエネルギー資源を活用して新産業を創出する戦略に着手した。再生可能エネルギーによる発電設備を10年間で2倍の規模に拡大することが目標だ(図5)。風力や太陽光に加えて、地熱発電とバイオマス発電を積極的に伸ばしていく。

図5 秋田県の再生可能エネルギー導入目標。kW:キロワット。出典:秋田県産業労働部

 地熱発電の開発計画は温泉地で有名な南部の湯沢市を中心に広がる。この一帯は日本でも有数の地熱資源が存在する地域で、1998年から「上の岱(うえのたい)地熱発電所」が発電能力29MWで運転を続けている(図6)。地熱発電の設備利用率は標準で70%と高く、年間に5万世帯分の電力を供給できる。湯沢市の総世帯数(1万8000世帯)の3倍近い規模になる。

図6 「上の岱地熱発電所」の全景。出典:東北電力

 上の岱地熱発電所を囲むように、現在3カ所で地熱発電所の開発プロジェクトが進んでいる(図7)。その中で先行しているのが「山葵沢(わさびさわ)地熱発電所」の開発だ。J-Power(電源開発)と三菱グループの共同プロジェクトで2015年5月に建設工事に入った。4年後の2019年5月に運転を開始する。

図7 湯沢市内の地熱開発計画(画像をクリックすると拡大)。出典:湯沢市役所

 発電能力は上の岱地熱発電所の1.5倍に相当する42MWを見込んでいる。地下から蒸気と熱水を取り込むための生産基地3カ所に加えて、発電後の熱水を地下に戻すための還元基地2カ所を発電所の周辺に建設する計画だ(図8)。発電に利用した熱水を地下に還元して環境保全を図る。

図8 「山葵沢地熱発電所」の全体像(上)、発電所の完成イメージ(下)。出典:湯沢地熱

 このほかに出光興産など3社が湯沢市内の「小安(おやす)地域」で地熱発電所の建設に向けた調査を2011年度から実施中だ(図9)。地下1800メートルの深さがある調査井(ちょうさせい)を使って地熱の資源量の調査を進めている。

図9 小安地域で実施中の地熱調査。出典:湯沢市役所

 さらに東北電力グループも上の岱地熱発電所の東側に広がる「木地山(きじやま)・下の岱(しものたい)地域」で2010年度から地熱調査を続けている。小安地域と木地山・下の岱地域は国定公園の特別地域に含まれるが、国の規制緩和によって地熱発電の開発が可能になった。

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