2016年度から始まる第2期では「新型蓄電池実用化促進基盤技術開発」(RISINGII)というプロジェクト名の通り、第1期の成果を踏まえて、より実用化を意識した基盤技術開発に着手する。事業費は5年間の合計で150〜180億円を見込んでいる。
具体的な内容は第1期と同じく、大きく分けると解析技術の開発と、新型蓄電開発の2つに分かれる。解析技術の領域では、蓄電池物質評価探査用のハイスループットビームラインの増設による解析精度の向上の他、オペランド解析という日本が強みとする解析技術のさらなる精度向上を狙う(図4)。
さらに複数の解析技術を組み合わせた「解析プラットフォーム」を構築する計画だ。蓄電池の現象解明やセル設計にフィードバックできる共通の解析基盤を整えることで、研究開発の効率化を図る。
新型蓄電池そのものの開発については、第1期に300Wh/kgのエネルギー密度を達成した3種類の蓄電池にフォーカスし、各電池のさらなる解析と実用化課題のクリアに向けた研究開発を進める。実用化を意識し、耐久性や安全性といった車載用の蓄電池として求められる性能の研究開発にも注力する方針だ。
なお、こうした新型蓄電池開発の研究体制は、蓄電池をカチオン(陽イオン)が移動する方式と、アニオン(陰イオン)が移動する方式の2つに分けて行う。この体制でそれぞれに共通する基盤技術の開発を進めることで、研究開発の効率化を図る。最終的には2020年度中までに、容量5Ah(アンペアアワー)級の実セルを試作することが第2期の目標である(図5)。
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