再生可能エネルギーが最終エネルギー消費に占める割合は、全世界で19.2%に到達した(図2)。GSR2016が示した全体像である。
ここでいう再生可能エネルギーとは、以下の囲み記事で解説したように、熱を得るためにだけに用いたものを含む。例えば、図2中央で「Traditional biomass(伝統的なバイオマス)」と表示されている部分は、発展途上国で調理や暖房のために用いる動植物由来の資源を指す。「Modern renewables」とある部分が、先進国などで多用されている水力や風力、太陽光などを指す。
化石燃料(Fossil fuels)が占める割合は、78.3%とまだまだ高い。改善は進んでいるのだろうか。
5年前に発行されたGSR2011では、化石燃料の割合が81%、原子力が2.8%、再生可能エネルギーが16%とある。5年前と比較すると、再生可能エネルギーの普及が3.2ポイント広がっている。好ましい状況だ。
電力の状況も改善が進んでいる。全世界の発電所の発電容量に占める再生可能エネルギーの割合は23.7%(図3)。GSR2011(19.4%)と比較すると、4.3ポイント高まった。
一次エネルギーと最終エネルギーの関係
エネルギーや発電の状況を見る場合、最初におさえておかなければならないのが、どこからエネルギーを調達し、どのように変換して、どのように使うかというフローの全体像だ。
例えば、ガソリンは石油から精製し、輸送用燃料に用いる。電力とはほぼ無関係だ。逆に原子力は電力のみを生み出す。枯れ枝や家畜のフンを集めて燃やし、熱のみを得る使い方もある。
自然界から採取したエネルギー源を一次エネルギーと呼ぶ。石炭やウラン、枯れ枝などだ。利用時のエネルギーを二次エネルギー(または最終エネルギー)と呼ぶ。電力であったり、ガソリンや熱の形を採る。
国や地域単位でエネルギーの流れを調べる際には、どの部門が利用しているのかも重要だ。輸送、産業、企業、家庭などの部門がある。
図A-1は、欧州連合(EU)におけるエネルギーフローを示したもの。左端で調達し、中央付近で変換し、各部門が右端で消費している。中央左上は発電所とコージェネレーション(CHP)を示す。さまざまな一次エネルギーがここで電力に変換されている。
再生可能エネルギーを黄緑色で示した。2012年時点では、まだまだ細い流れだったことが分かる。
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