東京電力のシステム不具合が続く、未通知件数が最大4万件を超える事態に電力供給サービス(1/2 ページ)

5月下旬に明らかになった東京電力の託送業務システムの不具合による影響が拡大している。小売電気事業者に通知する需要データのほかに発電データの通知にも遅れが生じて、最大で4万件を超える未通知が発生した。数多くの小売電気事業者が電気料金を請求できない状況になっている。

» 2016年06月13日 11時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]

既報(5月23日):「東京電力のシステムに不具合、またも小売自由化に支障をきたす」

続報(6月27日):「電気料金の誤請求が1646件にも、東京電力のシステム不具合で」

 東京電力の送配電事業を担う東京電力パワーグリッドが「電気使用量の確定通知の遅延」について経済産業省から報告徴収を求められ、5月31日と6月8日の2回にわたって状況を報告した。問題が発生しているのは「託送業務システム」で、需要家の電力使用量をもとに小売電気事業者に対して使用量の確定値を通知する役割を担っている(図1)。

図1 「託送業務システム」で不具合が発生している部分(画像をクリックするとシステム全体を表示)。DB:データベース、MDMS:メーターデータマネジメントシステム。出典:東京電力パワーグリッド

 ところがシステムの不具合によって、4種類のデータ処理が適切に実行できていない。そのうち2つは需要家に設置したスマートメーターからのデータや旧型のメーターからの移行情報が正しく取得できていないことによる。3つ目はスマートメーターで検針したデータに欠落がある問題、4つ目は検針データをもとに需要家の使用量を確定させる部分で不具合が発生している。

 この結果、小売電気事業者や発電事業者に通知すべき使用量や発電量の確定値を迅速に通知できず、各事業者は電気料金の請求や関連する費用の支払い・請求を予定どおりに実行できなくなってしまった(図2)。数多くの事業者が売上や経費を計上できないばかりか、電力会社から契約を切り替えたことによる遅延ではないかと需要家に指摘されるなど、事業者の信頼性にまで影響を及ぼす事態に発展している。

図2 電気料金の請求・支払いの流れ。出典:東京電力パワーグリッド

 6月7日の時点で電力の需要データに関する未通知の件数は約2万件にのぼる。このうち半数は東京電力が4月1日に開始した自由化後の新料金プランに移行した分で、残り半数が小売電気事業者に通知すべき需要データである(図3)。5月30日の時点と比べると未通知件数は減っているものの、一方で企業向けの特別高圧・高圧の需要データで未通知が増えている。

図3 需要データの未通知件数。出典:東京電力パワーグリッド
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