これまでにJR東日本は関東・東北の5カ所の駅を「エコステ」のモデルとして整備してきた。第1弾は首都圏を走る中央線の四ツ谷駅で実施した。駅ビルの屋上に太陽光パネルを設置したほか、屋上緑化やLED照明を含めて17種類の設備を導入している(図4)。年間のCO2排出量は41%削減できた。
続く第2弾は岩手県にある東北本線の平泉駅で、太陽光発電と蓄電池を組み合わせた。晴天の日には駅で使用する電力の全量を自家発電で供給することができる(図5)。CO2排出量をゼロにする「ゼロエミッションステーション」の取り組みを継続中で、年間に200日以上のゼロエミッションを達成している。
第3弾は千葉県の海浜幕張駅に、太陽光発電と風力発電の両方を導入した。小型の風力発電機を駅の海側にある防風壁の上部に設置して、海から吹く風を利用する。線路脇には太陽光の採光システムも設置した(図6)。採光システムの受光部にあるセンサーから光ファイバーを通して駅のコンコースに光を供給する仕組みだ。
第4弾は再び東北に戻って、福島県の湯本駅をモデル駅に改修している。地域に豊富にある温泉熱を取り入れて待合室に床暖房設備を導入した。暖房に使った後の温泉をホームの足湯にも再利用する(図7)。平泉駅と同様に太陽光発電と蓄電池を設置してCO2排出量の削減に取り組んでいる。
第5弾は同じ福島県のターミナル駅である福島駅で実施した。再生可能エネルギーの導入量を拡大する県のビジョンに合わせて、軽量型の太陽光パネルをホームの屋根いっぱいに設置して270kW(キロワット)の電力を供給できる。駅の通路の窓には有機薄膜太陽電池を装着して発電量を増やす(図8)。
JR東日本は引き続きエコステのモデル駅を拡大していく。第6弾になる浦和駅のほかにも、神奈川県の武蔵溝ノ口駅をモデル駅に改修する計画だ。太陽光発電の電力を使ってCO2フリーの水素を駅の構内で製造・利用できるようにする(図9)。2017年の春に稼働を予定している。
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