環境にやさしい「エコステ」のモデル駅を各地に展開しているJR東日本が埼玉県の浦和駅で新たなモデルの構築に挑む。ホームの屋根に太陽光パネルを設置して自家発電を開始するほか、鉄道で初めて列車の運行状況や天候に合わせてホームの照明などを制御できるシステムを導入する(図1)。
首都圏を走る3本の路線が停車する浦和駅は1日の乗降客が10万人にのぼる。広い駅の構内では電力の使用量が多いため、3本あるホームの照明をLEDに切り替えて消費電力を削減する。さらに駅全体の電力を制御するエネルギーマネジメントシステムを導入して、空調や照明を最適な状態に調整できるようにする(図2)。
エネルギーマネジメントシステムには天気予報の情報や太陽光発電の電力量に加えて、列車のダイヤや位置の情報も送られてくる。こうした各種のデータを分析して駅全体の電力使用量を適正なレベルに維持しながら、照明や空調を制御して乗降客の利便性を高める狙いだ
鉄道の駅で初めて実装する機能が3種類ある。1つ目は列車がホームに接近してくるタイミングに合わせて、LED照明を明るくして乗客に知らせる機能だ。2つ目は到着する列車の車両の長さ(編成長)やグリーン車の停車位置を照明の色の違いで表示する。3つ目の機能は構内のシャッターの開閉に応じて、ホームやコンコースのLED照明を消灯・減灯することができる(図3)。
JR東日本は2016年9月に浦和駅の改修工事に着手して、2017年3月からエコステのモデル駅として運用を開始する予定だ。エネルギーマネジメントシステムとLED照明による省エネ、太陽光発電による創エネの効果を合わせると、浦和駅のCO2(二酸化炭素)排出量を従来よりも約40%削減できる。
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