電力の小売全面自由化は緩やかに、4月の新規販売量は6万5000世帯分電力供給サービス(1/2 ページ)

2016年4月の電力需給状況がまとまった。小売全面自由化がスタートした4月の販売量は前年比3.8%の減少ながら、電力会社10社を除く小売電気事業者は20.7%の大幅な伸びを示した。家庭向けの販売量は小売電気事業者49社の合計で1948万kWhになり、一般家庭の6万5000世帯分に相当する。

» 2016年08月01日 07時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]

 資源エネルギー庁の「電力調査統計」の速報によると、小売全面自由化が始まった2016年4月の販売電力量は669億kWh(キロワット時)で、前年同月から3.8%の減少だった。このうち電力会社10社を除く小売電気事業者の販売電力量は36億kWhに達した。小売電気事業者のシェアは企業向けの特別高圧・高圧では8.27%を占める一方、家庭・商店向けの低圧では0.08%で1カ月目のスタートを切った(図1)。

図1 電力需給速報(2016年4月分、建設工事用と事業用電力を除く)。みなし小売=一般電気事業者(電力会社10社)。新電力=小売電気事業者。出典:資源エネルギー庁

 小売電気事業者が販売した電力のうち、家庭で使われる「電灯」は1948万kWhだった(図2)。一般家庭の使用量(月間300kWh)に換算すると6万5000世帯分に相当する。実際に4月中に家庭向けに電力の販売を開始した小売電気事業者は49社で、電力調査統計の対象に入る285社の2割に満たない状況だ。

図2 販売電力量の内訳と対前年伸び率(電力調査統計をもとに作成)

 ただし4月1日以降に電力の契約を切り替えた家庭が増えてくることから、小売電気事業者の販売量は5月分から伸びていく。市場におけるシェアも徐々に上昇するが、どのくらいの速さで拡大するか、小売全面自由化の効果を見るうえで注目したい。

 その一方で自由化が進んでいる企業向けにも波及効果が見られる。特別高圧・高圧の販売量は電力会社10社が前年比で5.6%の減少だったのに対して、小売電気事業者は26.4%も増加した。家庭向けの小売自由化を機に電力市場の競争が活発になり、企業のあいだでも電力会社から契約を変更する動きが広がっている。

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