再生可能エネルギーと農業を連携させるプロジェクトは佐渡島(さどしま)でも始まった。東京大学の研究機構が島の活性化と低炭素化を目指して推進するプロジェクトの1つで、島内の農地に太陽光パネルを設置して営農型の発電事業に挑む。
太陽光パネルは地上から2メートルの位置に、南向き13.5度で112枚が並ぶ(図4)。厚さ6.5ミリの薄型・軽量タイプの太陽光パネルをソーラーフロンティアが提供した。全体の発電能力は約10kWで、年間に1万1000kWh(キロワット時)の電力を供給できる。一般家庭の使用量(年間3600kWh)に換算して3世帯分になる。
営農型の発電事業に向けて、太陽光パネルの下でブロッコリーの栽培を2016年6月に開始した。太陽光パネルの影になって減少する日射量とブロッコリーの収穫量のデータをもとに、農業と発電を合わせた収入増加の効果を検証する計画だ。離島では石油を燃料に使う火力発電に依存していることから、営農型の太陽光発電が広まればCO2排出量の削減にもつながる。
新潟県には離島が2つある。佐渡島から東北に80キロメートルほど離れた場所に、もう1つの粟島(あわしま)がある。佐渡島よりもはるかに小さい島の北側の沖合では、海流発電の実証プロジェクトが進んでいる(図5)。
この海域は国の海洋エネルギーの実証フィールドに選ばれている。海流の速さは最大で毎秒1メートル近くに達する。ただし海流発電は毎秒2メートル程度で最大の発電量になる。そこで新潟県と日本大学が共同で開発した低速でも発電できる浮体式の装置を使って実証試験に取り組む(図6)。
発電装置の水中に沈む部分には、長方形の翼3枚で構成する縦軸式の水車がある。海流を受けて水車が回り、水上にある発電機を回転させて電力を作り出す仕組みだ。発電能力は最大で300ワットである。翼は軽量のアルミ製で、装置全体を支える浮体部分はスチール製のフレームとポリエチレン製のフロートで作られている。
2016年7月に粟島沖の実証海域に4日間にわたって設置して、発電量や防水性、強度などを検証した。この検証結果をもとに、発電装置に改良を加えて実用化を目指す。実用化の段階では水車の翼が長さ10メートルになって、発電能力は200kWを想定している。
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