やはり多かった太陽光「分割案件」、違反防止へ確認体制を強化太陽光(1/2 ページ)

総務省は2015年9月にFITを運用する経済産業省に対し、太陽光発電所の「分割案件」の問題、発電事業者が負担する「工事負担金」などの運用について、改善を求める勧告を行っている。このほどそれを受け経済産業省が実施した改善施策の内容や成果が公表された。チェック体制を強化した結果、「分割案件」の恐れがあると判断された案件の割合は、以前の2倍に増えている。

» 2016年09月02日 07時00分 公開
[陰山遼将スマートジャパン]

 総務省は2016年8月29日、「再生可能エネルギーの固定価格買取制度の運営に関する実態調査」に基づき2015年9月経済産業省に勧告した件について、改善施策の内容やその成果をとりまとめた。

 総務省では2015年に「再生可能エネルギーの固定買取価格制度」(FIT)に関する実態調査を目的に、発電設備の認定状況や系統接続の状況、収支状況および費用負担調整業務の実施状況を調査した。その結果を受け、同年9月にFITを管轄する経済産業省に対して、主に3つの勧告を行った。今回発表した内容は、経済産業省が実施した改善措置のフォローアップを目的としたものである。

やはり多かった「分割案件」

 勧告の1つ目が、禁止されている太陽光発電所の「分割案件」への対応だ。分割案件とは、特段の理由なく発電所を出力50kW(キロワット)未満の低圧に分割して申請を行っているケースのこと。高圧系の発電所の場合、電気主任技術者の選任や、認定後6カ月以内に土地と設備を確保する必要がある。一方、低圧系ではこうした義務や規制はない。そこで本来は高圧系である発電所を意図的に分割し、必要な手続きを逃れたり、意図的に工事を遅らせたりする発電事業者の発生を防ぐため、経済産業省は2014年から分割案件を原則禁止している。

 しかし2015年の総務省の調査で、2014年5〜11月までの間にFITに認定された出力30kW(キロワット)以上、50kW未満の太陽光発電所、全3万2813件のうち、1451件に分割案件の疑いがあることが明らかになっていた。

 経済産業省はこうした状況に対する改善措置として、50kW未満の設備の認定を委託している太陽光発電協会・代行申請センターにおいて、発電所の確認を徹底する施策を行った。具体的には2015年12月から、発電所の認定時に、過去に認定した設備および申請中の設備の情報を突き合わせられるシステムを導入。認定時に分割案件である可能性をより厳しくチェックできるようにした。

 この結果、分割案件の可能性があると判断された案件の割合は、システム導入前は16万7428件の申請に対して8464件(5.1%)だったが、導入後は9万9667件の申請に対して1万1576件(11.6%)と高まった。なお、分割の恐れがあると判断したすべての申請については、申請者に対して分割案件でないことを客観的に証明する書類の提出と、申請を取り下げた上で、関連する発電設備をまとめて1つの発電設備として再申請するように依頼したとしている。認定取得後において軽微変更届出を行った事業者に対しても、同様に対応したとする。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.