固定価格買取制度の認定・導入状況を見ると、三重県では太陽光とバイオマスに加えて風力発電の伸びも期待できる。買取制度の認定を受けた風力発電設備の規模は130MWに達して、全国で第5位である(図13)。
県内には風力発電所が集積している高原地帯がある。津市の西側に広がる青山高原は年間の平均風速が7メートル/秒を超える風況に恵まれた場所で、中部電力グループが5つの風力発電所を運転中だ(図14)。全体で69基の風車が稼働して、発電能力は98MWに達する。
その中で最も新しいのは「新青山高原風力発電所」である。2003年に運転を開始した「青山高原風力発電所」に隣接する場所に、合計40基の大型風車を設置する(図15)。第1期分の18基が2016年3月に運転を開始した。第2期分の22基も2017年3月に稼働する予定だ。
風車1基あたりの発電能力は2MWで、第2期が稼働すると新青山高原風力発電所の発電能力は80MWに増える。島根県にある「ユーラス新出雲ウインドファーム」の78MWを抜いて、国内で最大の風力発電所になる。
さらに青山高原全体では142MWの発電能力に拡大する。風力発電の標準的な設備利用率(発電能力に対する実際の発電量)を20%で計算すると、年間の発電量は2.5億kWhにのぼる。高原地帯の風力を生かして、7万世帯分の電力を供給できる。
風力発電と比べて規模は小さいものの、小水力発電の取り組みも始まっている。国が三重県の西部で農業用水路の整備に合わせて小水力発電所を建設した。用水路に水を供給する「青蓮寺(しょうれんじ)ダム」の取水施設を改修して、ダムの直下で発電する方式である(図16)。2016年8月末に運転を開始したばかりだ。
ダムからの水流が生み出す37メートルの落差を利用して、発電能力は183kWになる。年間の発電量は51万kWhを見込んでいる。農業用水路は灌漑(かんがい)の時期によって水量が大きく変動するため、2台の発電機を導入して水量に応じて発電できる体制をとっている(図17)。発電した電力は売電して、用水路の維持管理費にあてる方針だ。
2015年版(24)三重:「大型風車65基を高原に新設、街には太陽光とバイオマス」
2014年版(24)三重:「湾岸一帯にメガソーラーの建設ラッシュ、地域に貢献する電源が広がる」
2013年版(24)三重:「高原一帯に90基を超える大型風車、干拓地や住宅地には巨大メガソーラー」
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