木質バイオマス発電が急拡大、液晶の町から歴史の地までつなぐエネルギー列島2016年版(24)三重(3/4 ページ)

» 2016年10月04日 09時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]

2040年にエネルギー自給率を120%に

 再生可能エネルギーの取り組みは太陽光発電でも活発になってきた。オリックスが津市の郊外に広がるゴルフ場の跡地に建設した「オリックス51M津メガソーラー発電所」は、名前が示す通り51MWの発電能力がある巨大なメガソーラーだ(図9)。オリックスが三重県内に建設した3カ所目のメガソーラーである。

図9 「オリックス51M津メガソーラー発電所」の全景(画像をクリックすると拡大)。出典:オリックス

 東京ドーム25個分に匹敵する113万平方メートルの用地に、20万枚の太陽光パネルを設置して2016年5月に運転を開始した。年間の発電量は5780万kWhを見込み、一般家庭の1万6000世帯分に相当する。現在のところ三重県で最大の太陽光発電所である。

 オリックスと並んで三重交通グループの三交不動産もメガソーラーを拡大中だ。これまでに県内15カ所に太陽光発電所を稼働させて、発電能力を合計すると38MWに達した(図10)。15カ所のうち発電能力が1MW以上のメガソーラーを5カ所に展開している。

図10 三交不動産の太陽光発電所(豊田ラッツソーラー発電所だけ愛知県内)。出典:三交不動産

 その中で最も規模が大きいのは、松阪市の中心部から5キロメートルほどの場所にある「松阪市山室メガソーラー発電所」である(図11)。発電能力は15.4MWで、2015年12月に運転を開始した。年間に1890万kWhの電力を供給できる。

図11 「松阪市山室メガソーラー発電所」の全景(上)、セグウェイを利用した点検作業(下)。出典:三交不動産

 このメガソーラーでは発電設備の点検作業に日本で初めて「セグウェイ(Segway)」を導入して注目を集めた。保守の担当者が16万平方メートルに及ぶ広大な敷地内をセグウェイに乗って移動することで、保守・保安業務にかかる時間を40%も削減できる見込みだ。ほかのメガソーラーにも順次セグウェイを導入して運営コストを低減していく。

 三重県は全国でも日照時間が長く、県庁所在地の中で津市の年間日照時間は第5位に入る。県が2016年3月に策定した「新エネルギービジョン」では、2030年までに太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギーやコージェネレーションを拡大して、84万世帯分のエネルギーを自給自足できるようにする目標を掲げた(図12)。これは三重県の総世帯数(70万世帯)の1.2倍に匹敵する。

図12 「新エネルギービジョン」で設定した導入目標。出典:三重県雇用経済部

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