ドイツの国立航空宇宙研究センターが燃料電池で飛ぶ4人乗りの航空機の飛行に成功した。低温で動く固体高分子形の燃料電池と水素格納装置を搭載して、水だけを排出しながら最長1500キロメートルを飛ぶことができる。最大出力は80kWで、離陸時や上昇時には蓄電池から電力を補給する。
現地時間の9月29日に、ドイツの南西部にあるシュトゥットガルト空港を1機の小型機が飛び立った(図1)。ドイツ国立航空宇宙研究センター(DLR)が開発した「HY4」である。水素で発電する燃料電池を搭載した航空機で、4人乗りでは世界で初めてのフライトに成功した。
HY4は機体の中央部に燃料電池による駆動システムを内蔵して、前方のプロペラを回転させる仕組みだ。左右に分かれた2つの胴体の前部に、パイロットや乗客を2人ずつ分散して収容する(図2)。開発したDLRによると、人間を乗せる部分を左右に分散させた構造が最も効率よく飛ぶことができる。
動力源の燃料電池はカナダのハイドロジェニックス社が供給した(図3)。低温で動作する固体高分子形の燃料電池で、燃料電池自動車に使われているのと同じタイプだ。HY4に搭載した燃料電池の出力は80kW(キロワット)である。トヨタ自動車の燃料電池車「MIRAI」の出力(114kW)と比べると少し小さい。
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