長野県の高原で展開するテレワークタウン計画から電力の小売事業が始まる。オフィスをシェアする東京のベンチャー企業3社が共同で新会社を設立した。地域で発電した再生可能エネルギーの電力も加えて、県内の企業や公共施設、家庭にも供給する。2017年2月に小売事業を開始する予定だ。
長野県の南部にある富士見町は標高700〜1200メートルに広がる高原地帯で、東京から特急電車で2時間の距離にある。長年にわたって人口の減少が続く富士見町が若者の定住・移住を目指して、2015年度に「富士見町テレワークタウン計画」を開始した。高原の快適な環境の中で、最新の通信インフラを備えたシェアオフィスやホームオフィスを展開中だ(図1)。
大学の研修センターをリフォームした「富士見 森のオフィス」が2015年12月にオープンして、東京のベンチャー企業などが相次いで入居した(図2)。その中の3社が共同で電力の小売事業に乗り出す。10月18日に「富士見 森のエネルギー」をオフィス内に設立して、2017年2月から小売事業を開始する。富士見町を中心に隣接する諏訪地域、さらに長野県内の各地に供給エリアを拡大していく計画だ。
新会社が目指すのは電力の地産地消を通じて、地域に新しいサービスを展開しながら経済の活性化を図ることにある。地元の企業が電力小売の販売代理店として参画する事業スキームを構築する方針だ。安価な電力を企業や公共施設、家庭にも販売して電気料金の削減につなげる。
さらに電力の使用量データをもとに、地域で使えるポイントサービスや、高齢者などを対象にした見守りサービスも計画中だ。供給する電力には周辺地域で発電した再生可能エネルギーを組み込んで地産地消を推進していく。
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