2人乗り電気自動車とローカル鉄道の観光実証、産学官の連携で始まるスマートシティ(1/2 ページ)

超小型の電気自動車を活用してCO2排出量の削減に取り組む動きが全国に広がってきた。岐阜県では長良川に沿って走るローカル線と組み合わせた観光実証事業が11月20日に始まった。鉄道の駅を起点に周辺地域を電気自動車でめぐることができる。1時間1000円の利用料金で12月下旬まで実施する。

» 2016年11月25日 07時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]

 岐阜県の中央を縦断する長良川に沿って、のどかな風景の中を1両編成の赤い電車が走っている(図1)。1934年(昭和9年)に開通した旧・国鉄の路線が1986年(同61年)に第三セクターの「長良川鉄道」に生まれ変わった。総延長72キロメートルの路線にある38駅のうち、有人駅は6カ所だけだ。

図1 「長良川鉄道」の沿線風景。出典:岐阜県ほか

 そのうちの1つ「関駅」で超小型の電気自動車の貸し出しが11月20日(日)から始まっている。岐阜県が長良川鉄道や岐阜大学、県内で建設コンサルタント業を営む大日コンサルタントと共同で取り組む「超小型モビリティによる周辺観光実証事業」である。貸し出す電気自動車は日産自動車が開発した「Nissan New Mobility Concept」で、車内の前部と後部に2人で乗ることができる(図2)。

図2 実証事業で利用する「Nissan New Mobility Concept」。出典:岐阜県ほか

 「超小型モビリティ」は大きさが軽自動車の規格に合う2人以下の乗用車である。自治体などが運行上の安全対策を講じた場所に限定して、認定を受けた車両だけが公道を走ることができる(図3)。国土交通省が自動車のCO2(二酸化炭素)排出量を削減する取り組みの一環で2015年1月に「超小型モビリティ認定制度」を開始して以来、全国各地で実証プロジェクトが進んでいる。

図3 「超小型モビリティ認定制度」の対象要件。出典:国土交通省
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