晴れの国に太陽光発電所が続々と誕生、ゴルフ場の跡地や池の水上にもエネルギー列島2016年版(33)岡山(3/4 ページ)

» 2016年12月06日 09時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]

県と市が共同で水道管に発電機を設置

 太陽光発電に続いて小水力発電の取り組みも増えてきた。岡山市では水道管に水車発電機を設置して、「西大寺小水力発電所」が2015年4月から運転中だ(図8)。市内の浄水場から各地域に水を供給する配水池までのあいだに水流の高低差がある。水流の落差は30メートルで、1分間に27立方メートルの水が流れ込む。

図8 「西大寺小水力発電所」の発電設備。出典:岡山県広域水道企業団、岡山市水道局

 この配水池に水を供給する直径80センチメートルの送水管にバイパス管を敷設して、流れてくる水を水車発電機に取り込んでいる。水車発電機の内部にはポンプ逆転水車が組み込まれていて、水の勢いでポンプを逆回転させる力で発電機を回す仕組みだ(図9)。

図9 ポンプ逆転水車の構造(上)、水車発電機の外観(下)。出典:岡山県広域水道企業団、岡山市水道局

 発電能力は110kWになり、年間の発電量は58万kWhを見込んでいる。浄水場と配水池を運営する岡山県と岡山市の共同で運営して、発電した電力は固定価格買取制度を通じて売電する。年間の売電収入は約2000万円になる。

 農業が盛んな岡山県の内陸部では、JA(全国農業協同組合連合会)グループが老朽化した小水力発電所の再生事業を推進中だ。温泉地でも知られる旧・奥津町(現・鏡野町)にある「奥津西谷発電所」は1967年に運転を開始した。発電所は小高い山の直下にある。山の上から水圧鉄管を通して100メートル以上の落差で水車発電機に水を送り込んで発電する(図10)。

図10 「奥津西谷発電所」の全景。出典:JAつやま

 すでに運転開始から50年近くを経過して老朽化が進んだため、発電所の建屋を建て替え、水車発電機や水圧鉄管の一部も交換した。約1年間の改修工事を経て2016年5月に発電を再開している。

 水車発電機は落差の大きい場所に向く横軸フランシス水車を採用した(図11)。発電能力は以前と変わらない480kWだが、故障による停止時間が短くなって発電量が増える見込みだ。年間に320万kWhの電力を固定価格買取制度で売電する。

図11 水車発電機の設置状況。出典:JAつやま

 JAグループは同様に内陸部の旧・加茂町(現・津山市)にある「加茂桑谷発電所」の改修工事も実施した。1965年に運転を開始した水力発電所で、山の中腹から50メートル下の発電所まで水圧鉄管で水を送り込む(図12)。改修を経て2016年8月に運転を再開して、従来と同じ420kWの発電能力を維持した。年間に300万kWhの電力を固定価格買取制度で売電する予定だ。

図12 「加茂桑谷発電所」の全景。出典:JAつやま

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