数字で見る電力業界3分で分かるこれからの電力業界(3)(3/3 ページ)

» 2016年12月22日 09時00分 公開
[江田健二スマートジャパン]
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新電力への切り替え件数推移

 ここでは、どのくらいの電力需要家が電力会社の切り替え(スイッチング)を実施しているのかについて見ておきましょう。

 電力小売全面自由化が始まったばかりの2016年4月1日時点では、スイッチングの件数は55万件ほどでした。需要家全体では約8500万件となりますので、わずか0.6%ほどの割合となります。それが、自由化から1カ月後の5月6日では、85万件ほどとなり、約1%が電力会社を切り替えました。その後も順調に切り替え数は伸びていき、9月30日時点では約190万件がスイッチングをしました。これは、需要家全体から見ると2.2%ほどの割合となります。

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 9月30日時点における約190万件の電力切り替えのうち、110万件近くが東京電力(東京電力パワーグリッド)管内となっています。次点で関西電力、中部電力と続きます。これは、該当地域における市場規模が大きく、かつ電力会社の参入も活発であることが大きな要因となっています。一方で、沖縄電力の切り替え数は0であり、これは市場規模が小さく新電力企業が参入していないことが起因しています。

 この数値から見ても、まだまだ電力会社の切り替え経験者は少数派であることが分かります。ただ、堅調にスイッチングの数も伸びていますので、引っ越しで電力会社を切り替える際など、何らかの機会で切り替えを行うケースは今後増えていくと考えられます。

本稿は『3時間でわかるこれからの電力業界 ―マーケティング編― 5つのトレンドワードで見る電力ビジネスの未来』(江田健二 /一般社団法人エネルギー情報センター 著)からの転載です(アイティメディアの表記ルールに基づいて原本から表記を一部変更しています)。

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著者:江田健二氏
「環境・エネルギーに関する情報を客観的にわかりやすく広くつたえること」「デジタルテクノロジーと環境・エネルギーを融合させた新たなビジネスを創造すること」を目的に執筆/講演活動などを実施。 富山県砺波市出身。慶應義塾大学経済学部卒業。 アンダーセン・コンサルティング(現アクセンチュア株式会社)に入社。 エネルギー/化学産業本部に所属し、電力会社のCRMプロジェクト、大手化学メーカーのSCMプロジェクト等に参画。その後起業、環境・エネルギービジネスの推進や企業のCSR活動を支援している。 RAUL株式会社 代表取締役、一般社団法人エネルギー情報センター理事、一般社団法人エコマート運営委員。

一般社団法人エネルギー情報センター
エネルギーに関する正しい情報を客観的にわかりやすく広くつたえること、ITとエネルギーを融合させた新たなビジネスを創造することを目的に設立、運営。多くの人・組織が共に学び、考え、協力していく『場』となるプラットフォームを提供していきます。
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