電力の使用量を30分ごとに自動計測するスマートメーターが全国に普及してきた。設置台数は合計で2300万台を超えて普及率は3割に達している。関西では5割以上の家庭に導入を完了した。スマートメーターは電力の購入先を変更する場合に必要で、使用量に基づく生活支援サービスも可能になる。
第79回:「電気料金は新電力が安い、標準家庭で月額300円以上」
小売の全面自由化で電力の利用方法が大きく変わる要因の1つはスマートメーターだ。従来は電力会社の検針員が月に1回の頻度で現地に出向いて目視で使用量を調べていた。新たに導入するスマートメーターは各家庭の使用量を30分ごとに計測して、無線ネットワークで電力会社のシステムにデータを送る仕組みになっている(図1)。
需要家が電力の購入先を変更した場合でも、電力会社から新電力へスマートメーターのデータを送ることによって毎月の電気料金を迅速に計算できる。小売の全面自由化を推進するうえでスマートメーターは不可欠である。
全国各地の家庭や商店にスマートメーターを設置する作業は電力会社の送配電部門が担当している。全面自由化から8カ月を経過した2016年11月末の時点で、全国10地域の電力会社が設置したスマートメーターの台数は2320万台にのぼった(図2)。普及率は3割に達している。
特に関西電力は他社に先がけて2012年からスマートメーターの設置を開始して、すでに普及率は5割を超えた(図3)。導入台数では東京電力が863万台で最も多く、2020年度末までに2700万台の設置を完了する予定だ。最も遅い沖縄電力が2024年度末に導入を完了すると、全国の7800万にのぼる家庭や商店すべてにスマートメーターが普及する。
電力の自由化で先行した欧米では、スウェーデンやイタリアなどはスマートメーターの普及率が100%近くに達している(図4)。アメリカは40%強で、日本よりも少し進んでいる。一方でイギリスが数%にとどまるほか、フランスやドイツではスマートメーターがほとんど使われていない。各国でスマートメーターを促進する動きはあるものの、費用対効果やプライバシー保護の問題などから普及していない状況だ
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