小売全面自由化が始まって9カ月も経過してから判明した中部電力と北海道電力によるインバランス誤算定の影響額が明らかになった。両社の誤算定に伴って全国の電力会社10社が発電事業者や小売電気事業者に対して追加で支払う金額は3.3億円にのぼる。約890社の事業者すべてと精算をやり直す。
中部電力と北海道電力で相次いで発生したインバランスの誤算定による影響額が判明した。資源エネルギー庁が2月9日に公表した報告資料によると、インバランスの精算に伴って全国の電力会社が発電事業者と小売電気事業者に支払う金額は合計で約3.3億円も過小だった(図1)。その一方で事業者に対して追加の請求が必要なケースも約3900万円あった。
インバランスは発電事業者と小売電気事業者が広域機関(電力広域的運営推進機関)に提出する30分単位の発電計画と需要計画に対して、実際の発電量と需要が計画値と異なる場合に生じる。小売全面自由化を開始した2016年4月から、計画値と実績の違いによるインバランスは送配電事業者(電力会社の送配電部門)が調整したうえで、過不足に応じて料金を精算する仕組みになった(図2)。
発電事業者の計画値よりも実際の発電量が上回った場合には、「余剰インバランス」が発生する(図3)。逆に下回った場合には「不足インバランス」になる。余剰分は送配電事業者が買い取り、不足分があれば代わりに電力を供給して発電事業者に料金を請求する仕組みだ。小売電気事業者の需要計画と実績についても、同様のインバランス調整と精算を実施する。
毎月のインバランスの発生状況のとりまとめと料金精算は、送配電事業者が運営する「託送業務システム」で処理することになっている。ところが中部電力と北海道電力の託送業務システムの処理プログラムに誤りが含まれていた(図4)。さらに中部電力では小売部門が不正確な需要計画を広域機関に提出していたことも判明して、二重にインバランスを誤算定する事態を引き起こした。
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