世界初、走る電気自動車へワイヤレス給電に成功電気自動車(1/2 ページ)

東洋電機製造は4月5日、東京大学大学院、日本精工と共同で、電気自動車が走行中に道路からワイヤレスで給電する仕組みを開発し、世界で初めて実車走行に成功したと発表した。インホイールモーターを活用したシステムで、実用化できれば電気自動車の普及課題の1つである“航続距離の短さ”を解決できる可能性がある。

» 2017年04月07日 09時00分 公開
[長町基スマートジャパン]

 車載用電機機器メーカーの東洋電機製造は、東京大学大学院の研究グループと日本精工との共同研究で、道路に敷設したコイルから電気自動車のインホイールモーターに直接、走行中給電できる「ワイヤレスインホイールモータ2号機」を開発。走行中の車両に対してワイヤレス給電を行うことに成功したと発表した。研究グループによれば、これは世界初の成果だという。

開発した「ワイヤレスインホイールモータ2号機」 出典:東洋電機製造

 今回の研究結果は、2015年5月に発表した、車体からインホイールモーターへワイヤレス給電する技術をさらに発展させたものだ。道路のコイルから走行中の車のインホイールモーターへ磁界共振結合方式でワイヤレス給電を行った。

 以前から検討されている走行中給電技術の多くは、道路のコイルから車載バッテリーへワイヤレス給電するが、同技術では道路のコイルからインホイールモーターに直接給電できるため効率が良くなる。今回は、これを実現するため、インホイールモーターにリチウムイオンキャパシタを内蔵するとともに、高度なエネルギーマネジメント技術を開発した。

開発したシステムの概要(クリックで拡大) 出典:東洋電機製造

 自動車のホイール内部に駆動モーターを配置するインホイールモータータイプのEVは、その優れた運動性能により、安全性、環境性、快適性などの多方面でメリットがある。しかし、従来のインホイールモーターは、モーターを駆動する電力を送るため車体とインホイールモーターをワイヤーでつなぐ必要があり、このワイヤーが断線するリスクがみられた。そこで、2015年5月に同研究グループは「ワイヤーが断線する恐れがあるならば、そのワイヤーをなくしてしまおう」というコンセプトで、ワイヤレスインホイールモーター(1号機)を開発し、世界で初めて実車走行に成功した。

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