関西電力がオリックス電力の事業を買収、首都圏での顧客拡大を狙う電力供給サービス

関西電力が、首都圏に多く顧客を抱えるオリックス電力の高圧一括受電事業の買収を決めた。電力自由化で競争が激化する中、首都圏での顧客拡大の足掛かりとしたい考えだ。

» 2017年09月12日 07時00分 公開
[長町基スマートジャパン]

 関西電力は2017年9月11日、オリックスの子会社でマンション向け電力販売を展開するオリックス電力から、高圧一括受電事業を譲り受ける株式譲渡契約を結んだと発表した。オリックス電力は首都圏に約6万3000件の顧客を抱える。電力自由化で関西エリアの顧客獲得競争が激化する中、首都圏での顧客基盤拡大の足掛かりとしたい考えだ。

 オリックス電力はオリックスと大京が2010年に設立。マンション1棟分の電力供給をまとめて行う高圧一括受電事業を展開している。今回の買収では、オリックス電力が会社を分割して高圧一括受電事業を行う完全子会社「Next Power」を作り、事業を移管。その後、2017年10月31日をめどに関西電力がNext Powerの全株式を取得し、連結子会社とする。

高圧一括受電のイメージ(クリックして拡大) 出典:関西電力

 2016年4月から始まった電力の小売全面自由化で、関西地域では競争が激化している。全面自由化からの1年間で、関西電力管内で家庭向けの低圧電力の切り替えを行った顧客数は、72万件にのぼる。関西電力は「高浜原子力発電所」の3、4号機が再稼働したことを受け、2017年8月から関西エリアでの電気料金を4.29%値下げし、競争力の強化を図った。一方、大阪ガスをはじめとする競合企業も追従して一斉に値下げを実施するなど、競争は激しさを増している。

 そこで、関西電力は首都圏エリアでの顧客拡大を目指しており、2018年度末までに家庭向けで10万件の獲得目標を掲げる。一方、2017年8月末時点の契約数は約1万5000件にとどまっていた。これが今回のオリックス電力の事業買収によって、一気に8万近くまで広がることになる。さらに関電は2017年10月から、首都圏での電気料金プランの値下げも実施する。

今回の事業買収のスキーム。表中の数値は出資比率(クリックして拡大) 出典:関西電力

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.