関西大学は靴のインソールなどに組み込み、歩く際の摩擦で発電する装置を開発。発電量を従来の100倍に高めることに成功した。
関西大学の研究グループは2018年2月、従来の100倍以上の発電量を有する摩擦発電機の開発に成功したと発表した。
同グループはこれまで、ゴム、帯電フィルム、電極からできた柔軟で軽量な摩擦発電機の開発に取り組んできた。今回、ゴム表面のあらさを工夫することで発電量を従来品より100倍以上に向上した。摩擦発電機のサイズは 50×50×6ミリメートル、重量15グラムで、靴のインソールに組み込み発電量を評価したところ、1歩の着地で0.6mW(ミリワット)、瞬間的には10mW)の発電が可能なことを確認したという。この発電量で、10個以上のLEDの点灯やワイヤレス回路の駆動が可能であり、環境発電デバイスとしてさまざまな応用が可能としている。
人の歩行や車、機械の振動などで発電する環境発電は、IoT社会におけるセンサ用電源として注目されている。そうした中で同グループは、摩擦で発生する静電気から発電する摩擦発電機の開発に数年前から取り組んできた。開発当初は、歩行時の発電量が1歩当たり0.003mWと微弱だったが、帯電フィルムを保持するゴムの表面粗さを工夫することで、発電量が飛躍的に向上した。
この摩擦発電機は構造がシンプルでゴムをベースとしているため、柔軟かつ低コストであり、さまざまな応用が考えられるという。例えば、靴に組み込めば歩くたびに発電し、ワイヤレス回路によってビーコン信号を発信し位置を知らせることや、さらに発電量を上げることで蓄電回路と組み合わせてスマートフォンなどのバッテリー充電も可能となるとしている。今後研究グループはさらなる構造の改良により、1歩当たり0.1W(ワット)の発電を目指す方針だ。
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