産業技術総合研究所(産総研)と、豊島製作所、Eサーモジェンテックは共同で、量産性に優れた高出力フレキシブル熱電モジュールを開発した。湾曲した熱源に対して、効率的な熱回収が可能になる。
産業技術総合研究所(産総研)と、豊島製作所、Eサーモジェンテックは共同で、量産性に優れた高出力フレキシブル熱電モジュールを開発したと発表した。湾曲した熱源に対し、効率的に熱回収が行える曲がる熱電モジュールで、さまざまな場所の未利用熱活用が行いやすくなるという。
熱エネルギーを電気エネルギーに変換できる熱電モジュール技術の発展に伴い、インフラ設備や工場などで使われずに放出されている熱を活用した発電に注目が集まっている。ただし、セラミックス基板に熱電材料を実装した従来の平面型熱電モジュールは、基板が固くて曲がらないため、熱源の多くを占める配管などから効率よく熱を回収できないという課題があった。
そこで産総研らは、曲面にも設置できるようフレキシブル基板と従来より電子冷却用の素子として広く利用されている熱電材料である化合物半導体「ビスマス・テルル材」を用い、平面型に比べ熱回収効率に優れたフレキシブル熱電モジュールの開発を進めてきた。
今回、ビスマス・テルル材に遷移金属を添加(ドーピング)した熱電素子を用いて発電性能を従来の1.5倍に向上させることに成功した。この熱電材料を極薄のフレキシブル基板に実装したフレキシブル熱電モジュールは、湾曲した熱源に対して温度差70℃で発電出力87mW/cm2と高い性能を実現した。
これにより工場やプラントにある温水・ガス配管の曲面状熱源を活用した発電など、未利用熱を利用した発電の用途拡大が期待されるという。
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