日本企業で初の「RE100」加盟、リコーはなぜ再エネ100%を目指すのか自然エネルギー(1/3 ページ)

事業の電力を100%再エネで調達する目標に掲げる企業が参加する国際イニシアチブ「RE100」。日本企業で初めて、このRE100への加盟を決めたのがリコーだ。同社にRE100に加盟した背景や、再生可能エネルギーを活用していくことの狙いについて聞いた。

» 2018年03月27日 07時00分 公開

 事業に必要な電力を、100%再生可能エネルギーで調達することを目標に掲げる企業が参加する国際イニシアチブ「RE100」。英国の非営利組織クライメイト・グループ(The Climate Group)が2014年に設立したRE100には、現在世界で120社以上の環境先進企業が加盟している。

環境先進企業が続々と加盟を表明している「RE100」 出典:RE100

 昨今、日本企業の中にもこのRE100へ加盟する企業が登場しはじめている。その中でも、日本企業として初の加盟を決めたのがリコーだ。

 リコーグループは、2030年までに自社の工場・オフィス・車両などから直接排出される温室効果ガス(GHG)を示す「スコープ1」と、自社が購入した熱・電力の使用に伴うGHGである「スコープ2」を2015年比で30%削減し、企業活動のサプライチェーンにおけるGHGの排出量である「スコープ3」を同15%削減する目標を掲げている。さらに、より長期の2050年目標として、バリューチェーンのGHG(温室効果ガス)排出ゼロを目指している。

 今回リコーグループの環境目標の策定と、その推進を担うサステナビリティ推進本部 社会環境室で室長を務める阿部哲嗣氏に、同社がRE100に加盟した背景や、再生可能エネルギー利用率の拡大に向けた戦略などについて聞いた。

リコー サステナビリティ推進本部 社会環境室 室長の阿部哲嗣氏

世界の「脱炭素化」の流れを“痛感”

――リコーがRE100に加盟するまでのいきさつについて教えて下さい。

阿部氏 2015年にフランス・パリで開催された「COP21」(地球温暖化対策に関する国連による議論の場)で、気温上昇を2度に抑えるために温室効果ガスの排出に関する2020年以降の国際的なルールが定められました。リコーはこのCOP21の公式スポンサーで、会場に複写機やプリンターを提供しました。リコーが公式スポンサーに選ばれたのは、1998年から「環境経営」、つまり「環境保全」と「利益創出」この2つを両立させていくという理念を掲げて経営をしてきた点が、フランス政府や国連、COP事務局から評価されたことが理由です。

 COP21の公式スポンサーを務めたことで、フランス政府の要人や名だたるグローバル企業のCEOと意見交換する機会を得ました。そこで、世界の著名な企業の多くが「脱炭素社会」や「CO2排出ゼロ」の実現に向けて、国ではなく企業自身が積極的に環境対策に取り組んでいくべきだという強い意志を持っているということを痛感したんです。リコーもこれまで約20年にわたって「環境経営」に取り組んできたという自負はありました。しかし、世界はもっと早いスピードで「脱炭素社会」に向かって動いていることに驚きました。

 そこでCOP21後、これまでのリコーグループの取り組みや今後の目標を見直すとともに、2017年4月に日本で初めてRE100加盟することを発表しました。新しく策定した目標は、世界で企業の再生可能エネルギーへのシフトが加速しコストダウンも進む中で、リコーグループでも積極的に再生可能エネルギーを活用してくことを柱としています。具体的な数値目標として、使用電力を2050年までに100%、2030年までに少なくとも30%再生可能エネルギーで賄うという目標を立てました。

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