オーストラリアの安価な褐炭で製造した水素を、日本に輸送するサプライチェーン構築に向けた検証がスタート。2020年に最初の輸送試験を行う計画だ。
川崎重工業、電源開発(Jパワー)、岩谷産業および丸紅は、豪州の大手総合エネルギー企業AGL Energyとともに5社でコンソーシアムを組み、同国ビクトリア州ラトローブバレーの褐炭(かったん)から製造された水素を液化し、日本へ輸送する国際的なサプライチェーン(Hydrogen Energy Supply Chain Project、以下HESC)構築の実証事業に取り組む。
これは同政府の補助金により、水素ガス精製、液化水素製造、陸上輸送および積出のパイロット実証と、水素サプライチェーンの商用化に関する検討を行うもので、実証設備の建設は、2019年から順次開始する予定。最初の水素製造および輸送試験は、2020〜2021年の間に実施する計画だ。
輸送機器製造や各種産業用プラント建設の実績を有する川崎重工は、今回の実証で、日本での水素のトップサプライヤーである岩谷産業とともに、液化水素積荷基地の建設および運用評価を担当する。
クリーンコール技術に実績のある日本最大の卸電力会社であるJパワーは、褐炭をガス化し、製造された水素ガスの精製設備を整備する。丸紅は国際的なエネルギー流通のノウハウを生かし、それぞれの実証を基に将来の商用サプライチェーン構築に向けた具体的な道筋を構築。AGLは、褐炭の供給とガス精製設備の建設地を提供する。
なお、今回の実証はCO2フリー水素サプライチェーン構想に含まれるガス精製設備、水素液化および積荷基地に関するものとなる。それ以外の褐炭ガス化設備、液化水素運搬船、液化水素貯蔵・揚荷設備については、既に新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)から補助金を受けて川崎重工、Jパワー、岩谷産業、シェルジャパンが「技術研究組合CO2フリー水素サプライチェーン推進機構(HySTRA)」を設立し、実証事業活動を開始している。
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