FIT抜本改革で転機を迎える太陽光発電市場ーーJPEA・経産省が語る今後の展望太陽光(1/3 ページ)

FIT制度の抜本改革が進むなど、再エネ業界にとって大きな変化の年となりそうな2020年。1月に開催された太陽光発電協会(JPEA)の新春交流会では、太陽光業界、経産省、再エネ議連のキーパーソンが太陽光発電の“これから”を語り、その発言には大きな注目が集まった。

» 2020年02月06日 07時00分 公開
[廣町公則スマートジャパン]

 太陽光発電協会(JPEA)は2020年1月28日、東京都内で「2020年 新春交流会」を開催した。同協会は、国内主要パネルメーカーらが会員に名を連ねる日本最大の太陽光発電業界団体。新春交流会には、会員企業トップをはじめ、経産省、再エネ議連など、業界関係者約300名が参集し、太陽光発電産業のさらなる発展を誓った。

JPEA 、2050年に太陽光300GWを目指す

 冒頭、挨拶に立ったJPEA代表理事の菅原公一氏(カネカ会長)は「サステナブルな社会の実現に向けた取り組みが地球規模で加速している」と指摘。「気温・水温の異常な上昇、大型台風などこれまでにない気象現象が世界中で起こり、地球の生命活動がリスクにされている」として、「再生可能エネルギー、とりわけ太陽光発電は地球の命を守る力」になるとの考えを示した。国内においても甚大な自然災害が頻発していることに触れ、「災害に対する太陽光発電システムのレジリエントな力、非常用電源としての重要性が再認識された」と昨年を振り返った。

JPEA代表理事の菅原公一氏

 同時に、「企業ベースでも温室効果ガスの排出量を抑えるべく、再生可能エネルギーへの転換に向けた取り組みが進められている」と語り、「企業経営にとっても太陽光発電が、ESGとして、とりわけ環境に関わる施策の柱になっている」とした。

 また菅原氏は、FIT抜本見直しに向けた議論を踏まえ、太陽光発電のコスト競争力に関して次のように述べた。「日本の太陽光発電のコスト競争力は、系統電力コストと比較しても見劣りしない水準を目指す状況になってきている。モジュールの発電効率を劇的に向上させるイノベーションの進化、そして事業者のみなさまの努力による施工費の低下、加えて新しい用途開発、新しい市場の創出など、主力電源化に向けた取り組みが継続されている」

 さらに将来に向けては、先ごろ同協会が発表した「2050年に太陽光発電300GW」という導入シナリオについて力説。電力システムの変化・住まいと暮らしの変化・企業活動の変化などを前提にすれば、それは十分に可能であり、「太陽光発電関連産業は新しい社会インフラの創造的発信者となって、CO2の削減に寄与し、国づくりに貢献し得る」とのビジョンを示した。

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