見えてきた2020年度のFIT改革、ソーラーシェアリング市場は大きな分岐点にソーラーシェアリング入門(25)(1/2 ページ)

太陽光発電と農業を両立する手法として、近年大きな期待と注目を集めている「ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)」について解説する本連載。今回は見えてきた2020年度のFIT制度改革の方針における、ソーラーシェアリングの扱いについて解説します。

» 2020年02月17日 07時00分 公開

 2020年度のFIT制度の調達価格を決める、調達価格等算定委員会の第55回会合が2020年2月4日に開催され、来年度の調達価格の委員長案が提示され、委員会で承認されました。2月7日からパブリックコメントが行われていることから、今後も細部の変更点がないとは言えませんが、営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)の取り扱いを含めてほぼ方向性が固まったものとして、現段階で確定している内容を改めて解説していきます。

 まず、毎年のことながら一番の関心事になる調達価格ですが、下記の表の通りになりました。

来年度の太陽光発電の調達価格委員長案 出典:調達価格等算定委員会

 10kW未満の住宅用太陽光発電については、出力制御対応機器の有無に応じて設定されていた区分がなくなり、21円/kWh(税抜)に一本化されました。出力制御対応機器の設置義務ありとする事業では、5円/kWhの大幅な引き下げです。

 次に、10kW以上の事業用太陽光発電ですが、10kW以上50kW未満と50kW以上250kW未満という2つの区分が設定され、それ以上は入札対象という扱いになります。10kW以上50kW未満の低圧案件については、自家消費要件が設定された上での調達価格となりますが、13円/kWh(税抜)と2019年度に比べて小幅な引き下げとなっています。とは言え、1円の下げなので小幅な印象を受けますが、下げ率で言えば7%ですからやはり小さくはありません。この13円/kWhは、後述する地域活用要件を満たす低圧の営農型太陽光発電にも適用されます。

 そして50kW以上250kW未満は、入札対象の事業よりも有利にならないように調達価格が設定されるため、2019年度下半期の入札上限が13円/kWhだったことを受けてか、それを下回る12円/kWhという設定になりました。そして、2020年度の入札はこの水準以下の上限価格が設定されることになるでしょう。14円から12円への下げ幅は2円ですが、下げ率は14.28%なので21円から18円に下がったときと同じ割合です。

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