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» 2020年02月20日 07時00分 公開

蓄電・発電機器:寿命は鉛電池の100倍以上、充放電の課題を解決した新しい亜鉛電池を開発

日本触媒が新しい亜鉛電池の開発に成功。水・炭・亜鉛と資源的に豊富かつ毒性のない材料で、低コストに作れることが特徴で、燃えるリスクなどもないという。亜鉛蓄電池の普及課題とされてきた寿命についても、1万サイクル以上の長寿命性能を実現した。

[スマートジャパン]

 日本触媒は2020年2月18日、自社開発の亜鉛電池用セパレータと亜鉛負極に、活性炭を組み合わせた「カーボン-亜鉛ハイブリッド畜電池」を開発したと発表した。主な構成要素が水・炭・亜鉛と資源的に豊富でかつ毒性のない材料で作れることが特徴で、燃えるリスクなどもないという。亜鉛蓄電池で課題とされてきた寿命についても、1万サイクル以上の長寿命性能を実現したとしている。

 亜鉛蓄電池は負極に亜鉛を用いた充放電可能な電池。リチウムイオン電池などと異なり、電解液に有機溶媒を使わないため、高い安全性が高い。さらに、鉛などの有毒材料やレアメタルを用いないため、資源・環境的にも優れるというメリットがある。しかし電池寿命に課題があり、乾電池としては利用できるが、充放電可能な蓄電池としての活用は難しいとされていた。これは、亜鉛蓄電池の充放電を繰り返すと、亜鉛電極からデンドライトと呼ばれる亜鉛の針状の結晶が対極へ向かって成長することにより、正極と負極が短絡しやすいことが大きな原因だという。

 そこで日本触媒は、樹脂製セパレータとは異なる、鉱物粉末をシート化した独自構造のセパレータを開発。デンドライトによる短絡を抑制し、充放電サイクル劣化を抑える独自の亜鉛負極材料の開発にも成功した。これらの要素技術を組み合わせて開発したカーボン-亜鉛ハイブリッド蓄電池は、正極に活性炭を用い、物理容量である電気二重層容量を利用している。一方の負極は、亜鉛の電気化学反応を行うため、物理容量と化学容量のハイブリッド電池とした。そのため、電気二重層キャパシタ(EDLC)の長所である高出力特性・長寿命特性を持ちながら、弱点である容量性能を、電池材料を用いることで克服しているという。

開発した「カーボン-亜鉛ハイブリッド畜電池」の構造 出典:日本触媒

 EDLCの場合、負極に正極と同じ活性炭を用いるが、開発したハイブリッド電池では負極を亜鉛にすることで、理論的に静電容量が2倍になるとともに、カーボン-亜鉛間に起電力を持てるため、高容量化につながる。さらに、エネルギー密度が高い亜鉛負極側を薄く設計できるため、同体積のパッケージでは正極活性炭をより多く搭載できる。具体的には、EDLCの5〜10倍の容量にでき、鉛蓄電池と同等の容量性能を得られるという。

 動作環境についても、−20℃以下の低温環境での充放電駆動が可能。寿命については、日本触媒が開発したセパレータおよび亜鉛電極を用いることで、既に1万サイクル以上の寿命性能を実現したとする。鉛蓄電池は数百サイクル程度で交換寿命がくるのが一般的で、これは100倍以上の寿命性能といえるという。

開発したセパレータの構造 出典:日本触媒

 日本触媒では今回開発した新しい亜鉛電池について、現在、鉛蓄電池が使用されている車載バッテリーなどへの展開や、再生可能エネルギー向けの電力貯蔵システムなどへの用途展開を見込むとしている。

 なお、日本触媒は今回開発したハイブリッド亜鉛蓄電池および亜鉛電池用セパレータについて、2020年2月26〜28日に開催される「第11回国際二次電池展」(「スマートエネルギーWeek2020」内、東京ビッグサイト)の同社ブースで披露する予定だ。

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