年始にかけて発生した電力市場価格の高騰。その影響によって、インバランス料金の支払い猶予措置を受けている新電力会社は全体の4分の1にのぼるという。帝国データバンクが独自の調査結果を発表した。
帝国データバンクは2021年5月21日、新電力会社706社の経営実態調査に関する調査結果を発表した。調査によると、インバランス料金の支払い猶予措置を受けている新電力会社は全体の4分の1にのぼるという。
2020年12月から2021年1月にかけて電力卸売価格が急騰したことが記憶に新しい。新電力などの小売電気事業者は、当初の需給計画を遂行できない場合、その不足分をインバランス料金として一般送配電事業者に対して支払う義務がある。このインバランス料金の計算は、卸電力市場の価格と連動する仕組み。そのため、年始にかけての価格高騰により、市場からの電力の調達が困難となったことで、多額のインバランス料金支払いを抱える新電力が相次いだ。
こうした状況に対し、経済産業省ではインバランス料金の支払いを分割可能にするなどの救済措置を行っている。今回の帝国データバンクの調査によると、2021年4月9日時点で、これら分割支払いの特例を受けている新電力会社は174社(構成比24.6%)にのぼるという。
現在も厳しい資金繰りを迫られている新電力も多く、2021年3月にはF-Power、5月にはパネイルの倒産が発生。調査レポートでは「卸売価格の高騰が各社の資金繰りに与えた影響は大きく、予断を許さない状況が続いている」と指摘している。
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