京セラが、自社製の太陽光発電システムと電力調達/販売をセットにした電力供給ビジネスを開始した。企業向け、住宅向け、それぞれに初期費用ゼロのNon-FIT太陽光スキームを展開する。
京セラは2023年10月1日から、太陽光発電システムによる再生可能エネルギーの電力調達・需給管理・電力販売を一貫して行う「再エネ電力供給ビジネス」に本格参入した。京セラ製太陽光発電システムを使用した供給元から電力を調達し、自社の工場や事業所で活用するほか、再エネを必要とする企業へ販売していく。
京セラの再エネ電力供給ビジネスでは、以下の4つの電力供給元から、太陽光発電による再エネ電力を調達する。
京セラ製太陽光発電システムを設置した大東建託のZEH賃貸集合住宅で発電した電力のうち、入居者が使用しきれなかった電力(余剰電力)を活用する。京セラと大東建託は、2023年3月1日にZEH基準を満たす大東建託の賃貸集合住宅で発電した電力の買取契約を締結しており、9月1日より買い取りが始まっている。
農業用貯水池などの水上や、遊休地などに太陽光発電所を建設。発電した電力は全量を京セラで活用し、さらに再エネを必要とする企業へ販売する。
企業の工場などに京セラの一時負担で太陽光発電システムを設置し、導入企業はサービス料を支払うことで再エネ電力を自家消費できる「オンサイトPPA電力供給サービス」を開始。余剰電力を京セラが需給管理し、有効活用を図る。
個人住宅向けに、初期投資なしで太陽光発電システムおよび蓄電システムを導入できる定額サービスを開始。その余剰電力を有効活用する。個人ユーザーと接点を持つハウスビルダーや新電力などの事業主に同サービスを代理販売してもらうとともに、京セラによる直接販売も行う。京セラが直接サービスを販売する際は「HOUSmile_e(ハウスマイルイー)」というサービス名で展開する。
京セラは、1975年に太陽光発電の研究開発を開始し、太陽光発電システム製品に関する豊富な知見を持つ。太陽光パネルのみならず、システム設計、機器調達、建設・施工、運営・メンテナンスなどの再エネ発電事業に関するノウハウも有しており、再エネ電力供給ビジネスは、これらの知見やノウハウを生かしたものになる。
同社は、このビジネスを通して「各供給元における自家消費に加え、余剰電力を京セラの工場や他の企業へ供給することで再エネ電力のさらなる有効活用を進めていきたい」とする。また、企業向けの「オンサイトPPA電力供給サービス」と、住宅向けの定額サービス「HOUSmile_e」については、それぞれ独立した新規事業として広くアピールしていきたい考えだ。
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