営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)について解説する本連載。今回は農林水産省が公開した、令和4年度末(2023年3月末)時点までの統計データを読み解きます。
2023年から秋公開となった農林水産省の営農型太陽光発電最新統計が、今年も公開されました。令和4年度末(2023年3月末)時点の最新データを見ていきましょう。
営農型太陽光発電の一時転用許可の累計許可件数は5,351件(975件増)となり、今回も概ね予想通りの増加ペースになりましたが、年間1,000件の大台には至りませんでした。とはいえ、下記の図にあるようにFITの非住宅用太陽光発電導入件数が前年の3分の2へと急激に減少する中で、営農型太陽光発電が健闘していることは間違いありません。
また、昨年も過去にさかのぼった新規許可件数の修正がありましたが、今年もさらに修正が加えられています。理由は不明ですが平成25年度〜令和3年度までの全ての年次で件数が増減し、全体では令和3年度までの累計で27件の増加となっています。
下部農地の面積の累計は1,209.3haとなり、太陽光パネルの出力ベースで200MWdc前後の増加になったと見られます。下部農地の面積合計を新規許可件数で割った平均は令和3年度の1,616m2(今回修正後の値)から令和4年度は2,278m2となり、1.4倍にまで増加しました。これにより1事例当たりの農地面積が増加傾向にあることが分かりますが、設備面積の平均値が最大だった平成28年度の3,893m2に比べるとまだまだ小さい状況です。
農地区分のデータでは顕著な変化が見られ、農用地区域内農地と第1種農地が大半(89%)を占める状況に変わりはありませんが、第2種農地の利用と荒廃農地再生が大きく伸びています。これは、FITの特定営農型太陽光発電における3年超の一時転用許可取得条件を満たすために第2種農地を活用すること、また今年の省令改正で運用変更がありましたが、「農作物の収量8割ルール」を免れるために、荒廃農地再生を手がける事業が増えたのだろうと推測されます。
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