電力の供給信頼度の評価指標として用いられている「EUE」と「予備率」。しかし実際の評価においては、矛盾するケースも生じている。そこで広域機関の「調整力及び需給バランス評価等に関する委員会」では、評価方法によって差異が生じる理由や、2つの指標を使うことの適切性について検討が行われた。
電力の安定供給は「S+3E」の一つとして、エネルギー政策の基礎となるものである。再エネ電源拡大以前は、年間最大需要時(8月の15時など)に必要となる供給力・予備力(H3需要の108%など)が確保されていることを確認し、供給信頼度を評価していた。
変動性再エネ電源の増加を背景に、新たな供給信頼度の指標として、2020年には確率論に基づくEUE(Expected Unserved Energy)が導入されたが、現在も従来からの確定論的な予備力の考え方が併用されている。
ところが、例えば2025年度供給計画取りまとめにおいて、EUEは東京・九州エリアでは目標停電量0.018 kWh/kW・年を超えているのに対して、H3需要予備率では全エリアで目標とする8%以上を確保できているなど、一見、矛盾するように見える状況も生じている。もし本当に供給力不足が生じているならば、直ちに対策を行う必要があるが、過剰な供給力確保はコスト負担の面では問題となり得る。
広域機関の「調整力及び需給バランス評価等に関する委員会」では、このような差異が生じる理由や、2つの指標を使うことの適切性について検討が行われた。
広域機関では、その制度目的や評価タイミングに応じて、さまざまな供給信頼度評価を行っており、毎年度の「供給計画」から夏季・冬季の「電力需給検証」まで一貫して、厳気象H1需要に対する必要供給力を基準として供給信頼度を評価している。
評価指標としては、実需給年度の4年前に開催される容量市場メインオークションや、10年先までの将来を対象とする供給計画では、EUE評価(確率論)を使用し、算定された年間EUEが目標停電量を下回っているかを確認している。ただし、年間EUEでは各月の供給予備力の状況を把握することが難しいため、供給計画の短期(第1、第2年度)見通しについては、予備率評価(確定論)も補完的に実施している。
他方、実需給が近づくにつれて、H1需要や供給力の状況も変化するため、夏季・冬季の需給検証や翌日・当日計画(実需給断面)などでは、予備率評価(確定論)を行っている。
各指標の評価対象として、EUE評価では原則、実需給年度全体(8,760時間)を通じた評価を行うのに対して、予備率評価は各時間帯(各コマ)に対して行うという大きな違いがある。
また現在、安定供給確保のために必要な供給力は、平年H3需要に対する必要供給力(EUE評価に基づく確率論的な必要供給力。図3左)と厳気象H1需要に対する必要供給力(予備率評価に基づく確定論的な必要供給力。図3右)のうち、いずれか大きい方であると整理されている。近年は確定論的必要供給力の方が大きい傾向にあるため、確率論的必要供給力と確定論的必要供給力の差分を「厳気象対応」として確保している。
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