先述の表1のように、同じ年度の供給計画であってもEUE評価と予備率評価で結果が異なる理由としては、「1.そもそも評価対象となる供給力が異なること」「2.供給信頼度基準の違い」が挙げられる。なお、EUEと予備率では指標の特徴が異なるため、仮に評価対象となる供給力を一致させたとしても、評価結果は一致しない。
供給計画において、まずEUE評価(図4左)では、H3需要に厳気象対応分や稀頻度リスク等を積み上げ(現状では実質的にH1需要+3%)、持続的需要変動分を除いた部分を基準(EUE評価対象)として、供給力についても同じく持続的需要変動分を除いた部分「供給計画で提出された供給力−持続的需要変動」を評価対象としている。
他方、予備率評価(図4右)では、「H3需要想定+偶発的需給変動+持続的需要変動」(H3需要+8%に相当)を基準としており、供給力としては、「供給計画で提出された供給力のうち、安定的に確保できる電源」のみを評価対象としている。つまりここでは、発動指令電源であるDR等は控除されている。
このように、EUEと予備率では評価対象の供給力や供給信頼度基準が異なるため、直接的に両者の評価結果を比較できるものではないと言える。
先述のとおり、予備率評価は8月15時等の最大需要や最小予備率といった特定の「一断面」における需要と供給力を比較したものであるが、EUE評価は年間8,760時間を対象としており、両者では評価断面が異なることが、その評価結果が異なる一因となっている。
評価断面の違いは、地域間連系線の混雑による影響の違いとなって表れている。なお、供給力評価における連系線の使用や混雑とは、一般的なkWh取引上の概念と異なるため、表2の混雑時間も一般的な混雑時間とは全く異なる数値となっている。
供給力評価における連系線の使用とは、自エリア内だけでは停電解消ができないときに初めて、他エリアから供給力の融通を受けること、つまり連系線を使用することを意味し、連系線が混雑する(連系線が使用できない)ときは、供給力不足により停電が発生することを意味する。
「2025年度供給計画の取りまとめ」によれば、H3需要の予備率評価では、8月や2月はH3需要発生時には四国エリア以外では連系線活用後の予備率は等しく、連系線混雑が発生していないことが確認できる。
他方、EUE算定は全時間帯を評価対象とするため、表2では複数の連系線において混雑が発生している。東京エリア向きに流れ込む「東北→東京」や「東京←中部」は8月に、九州エリア向きに流れ込む「中国→九州」は8月と2月に混雑が発生しており、このことが、表1でこれらのエリアのEUE評価が悪化する原因となっていると考えられる。
なお本来、EUEは年間評価の指標であるが、広域機関事務局では参考値として月別に展開したEUEを示しており、東京エリアでは8月に、九州エリアでは8月と2月にEUEが高いことが確認できる。
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