使用済み太陽光パネルの再資源化を促す「太陽光パネルリサイクル法」が公布された。太陽光発電協会(JPEA)は、これを好機と捉え、法制化に先行して整えてきた自主ルールを土台に、業界挙げての取り組みを本格化させる。
太陽光パネルの大量廃棄抑制に向けた「太陽電池廃棄物の再資源化等の推進に関する法律」(通称:太陽光パネルリサイクル法)が2026年5月29日、国会で可決・成立し、6月5日に公布された。公布から1年6カ月以内に施行となる。2030年代後半以降、年間最大50万トン程度に達すると見込まれる使用済み太陽光パネルの最終処分量を減らし、資源循環へと舵を切る大きな一歩になるものと期待される。
太陽光発電協会(JPEA)はこれまで、太陽光パネルの3R(リデュース・リユース・リサイクル)と資源循環の推進を最優先課題の1つと位置づけ、各種取り組みを行ってきた。太陽光パネルリサイクル法については、この3Rと資源循環の推進を経済合理性に配慮しながら着実に後押しするものと評価する。
日本の太陽光発電は2012年のFIT(固定価格買取)制度開始以降、急速に導入が広がった。2030年代後半以降、FIT期間(事業用20年)の終了に伴う使用済み太陽光パネルの排出量が顕著に増加する見通しだ。
使用済み太陽光パネルの適正処理に関しては、これまでも「廃棄等費用の積立制度」が設けられていたが、廃棄ありきの制度設計には限界も指摘されてきた。年間最大50万トン規模が排出されるといわれる使用済み太陽光パネルは、最終処分場の残余容量を圧迫し、廃棄物処理全体に支障が生じるおそれがある。これを防ぐ意味でも、廃棄ではなく、リサイクルが求められるのだ。
しかし、太陽光パネルのリサイクルには大きな課題がある。それは、廃棄(埋立処分)費用とリサイクル費用との差額が大きいことだ。現行の廃棄物処理法の枠組みのままでは、安価な埋立処分がどうしても選ばれやすい。解体撤去や収集運搬を除くリサイクル費用は1kW当たり8000〜1万2000円に分布するとされており、埋立処分より割高な状況が続いている。そもそもリサイクルされる太陽光パネルの総量が少なく、リサイクル施設の稼働率が総じて低いことが、費用低減を阻む大きな要因となっている。
太陽光パネルリサイクル法は、こうした状況に楔(くさび)を打つ。同法のポイントの要点は、以下の5つだ。
ここに分かるとおり、同法は「発電事業者」「リサイクル事業者」「メーカー」「輸入・販売業者」それぞれに規定を設け、太陽光パネルリサイクルに向けた包括的な枠組みを構築しようとするものだ。上記において、特に注目されるは上記の2つ目の項目で、「多量の事業用太陽光パネルを廃棄しようとする者」に、リサイクルの実施に向けた取り組みが義務づけられている点だ。
太陽光パネルを廃棄しようとする者とは、実質的に太陽光発電事業者を指し、そのうち多量のパネルを有している事業者に対して、国が定める判断基準(段階的に強化)に基づくリサイクルの実施に向けた取り組みを行うことが求められる。
具体的には、「多量事業用太陽電池廃棄実施計画」の事前届出が義務化される。基準に照らして著しく不十分な場合は、指導・助言にとどまらず勧告・命令の対象にもなる。なお、現時点で義務が課されるのは「多量」の太陽光パネル廃棄者(太陽光発電事業者等)に限られ、全面的な義務化には至っていない。とはいえ、順次対象を広げていく方針は明らかだ。まずは多量排出者から始めて、費用効率的にリサイクルが可能な範囲を段階的に広げていくことで、社会全体のコストを抑えながら制度を機能させる漸進的な設計といえる。なお、「多量」の定義も現時点では定まっておらず、どの程度の規模を対象とするのかは今後の詳細制度設計に委ねられている。
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