交流電動機(モーター)で消費される電力は、日本の全消費電力量の約55%、産業用モーターによる消費電力量は産業部門の消費電力量の75%を占めると推計されている。
このため、省エネ法に基づくトップランナー制度では、交流電動機(籠形三相誘導電動機)を指定品目の一つとしている。ただし、現行のトップランナー基準「効率クラス:IE3」は2013年度に設定された2015年度目標であり、すでに達成率は100%となっている。
より高効率な「IE4」や「IE5」のモーターの国内での導入は少ないが、EUでは2023年から、米国では2027年から一部出力帯において「IE4」の導入規制が開始されている。
国内のモーターをすべてIE4に置き換えた場合、最大約285億kWhの省エネ効果が得られるとの試算もある。このため、省エネ小委の下の三相誘導電動機判断基準ワーキンググループにおいて、産業用モーターの省エネ基準の見直しを開始することとした。
国はこれまでも規制措置と同時に、工場・業務用ビル等における省エネや非化石転換等に対する補助制度を措置してきた。
省エネ・非化石転換補助金の令和7年度補正予算では、新たにGXIII類型(トップ性能枠)を創設し、補助率を1/3→1/2へ強化するとともに、これまで補助対象ではなかった新設についても補助対象(補助率1/5)に追加された。
「トップ性能枠」の対象は、「1.省エネの観点で革新性のある設備であること」「2.初期需要創出段階であること」「3.掛かり増し費用が生じていること」等の観点から、図3の設備が指定されている。先述の産業用モーター「IE4以上」も対象とされている。
省エネ・非化石転換補助金による直接的な効果は、平成24年度から令和5年度までの累計で年間約315万kL、ストックで2,189万kLの省エネを達成したと報告されている。これを令和5年度補正採択事業の平均燃料単価10.7万円/kLを用いて金額換算すれば、年間3,370億円、ストックで2.3兆円の削減となり、累計補助額3,338億円に対して大きな効果が得られたと考えられる。
なお、デジタル・AI技術を活用したエネルギー使用の合理化の取り組みについては、省エネ・非化石転換補助金のIV類型「エネルギー需要最適化型」により支援を行っている。2025年度の採択件数は計29件であったが、2026年度はすでに1次公募で65件が採択されるなど、急速にこの分野の取り組みが広がりつつある。
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