燃料流通が懸念される「ガソリンスタンド過疎地」 重点支援すべき「地域インフラSS」を選定「新たな地域燃料流通に関する研究会」中間とりまとめ(2/3 ページ)

» 2026年09月16日 07時00分 公開
[梅田あおばスマートジャパン]

過疎SSの新たなモデル構築に向けた取り組み

 これまでSS運営の人手不足解消や低コスト化に向けて、新たな技術開発や規制緩和などにより、AI給油などのさまざまな取り組みが行われてきた。

 2026年2月には消防庁省令が改正され、一定の条件下で「AI給油」の利用が可能となったが、現時点での規制では、SS敷地内に従業員が駐在していることが必要であるため、隣接した敷地外の施設(コンビニなど)で多角化事業を行うことができないことが課題とされている。エネ庁では今後、SSから一定の距離圏内に駐在する形での実証を実施する予定としている。

 また2021年3月には規制緩和により、自治体による計画の策定や過疎地域などの一定の要件を満たす場合、「コンテナ型給油設備」を導入することが可能となった。現時点、製造販売業者が少なくコスト低減効果が限られることなどから普及には至っていない。

 販売量の少ない離島地域で広く普及しているのが「簡易計量機」である。計量機にタンクを内蔵しており、補給は自給装置(ポンプ)でドラム缶(200L)などから直接吸入するものであり、地下タンク方式と比べ、導入費用が少額であることがメリットとされている。

 「可搬式給油設備」は固定的なSS設備が不要であるが、安全対策のためには最低5名の配置が必要であり人件費が高額になるため、災害時の活用が想定される。

表2.過疎SSの新たなモデル構築に向けた取り組み 出典:研究会中間とりまとめ

 SS過疎地では人手不足により十分な従業員を確保できないことが課題とされている。公正取引委員会は、SS過疎地のSS間で休業日を調整することについて、独占禁止法上問題となるものではないと回答しており、「休日輪番制」により従業員の負担軽減に繋がることが期待される。

図4.休日輪番制のイメージ 出典:研究会中間とりまとめ

SSの災害対応能力強化

 災害時においてSSは、緊急車両・重機や地域住民への給油、医療機関や避難所などへの非常用発電機用燃料や暖房用灯油などの配送といった重要な役割を果たしている。

 2011年の東日本大震災において、一部のSSに燃料を求める被災者が集中するなどの混乱があったことなど踏まえ、国は、緊急通行車両などへの優先給油や医療機関・避難所などに対する燃料供給を行う「中核SS」や「小口燃料配送拠点」を全国に整備し、緊急時のSSの役割分担を明確化した。

 また、2016年の熊本地震において、一般の避難者・被災者が給油できる拠点を整備する必要性が再認識され、「住民拠点SS」が整備された。

 2026年3月時点、中核SS:1,562か所、住民拠点SS:14,215か所、小口燃料配送拠点:450か所であり、いずれも停電時に給油を可能とするよう自家発電設備が設置されている。

図5.災害対応SSの設置 出典:研究会中間とりまとめ

 すでにエネ庁のHPでは住民拠点SSをWeb地図上にマッピングし公開しており、災害時には営業状況をシステムで収集し、地図上にも各SSの営業状況が反映される仕組みになっている。

 他方、中核SSの情報は現時点、一般公開されておらず(自治体を通じ、関係機関に共有)、緊急車両を保有する関係機関が災害時に営業情報を入手しにくいという課題がある。このため、中核SSの情報について、内閣府が運営する新総合防災情報システム「SOBO-WEB」への連携を検討中である。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

特別協賛PR
スポンサーからのお知らせPR
Pickup ContentsPR

展示会/注目テーマ

あなたにおすすめの記事PR