約7割がリスクヘッジを実施、小売電気事業者の供給力確保の現状:第4回「電力事業環境整備ワーキンググループ」(1/3 ページ)

2030年度供給計画から、小売電気事業者に対して「量的な供給力(kWh)」の確保を求める新制度の導入が予定されている。その詳細設計を進める「電力システム改革の検証を踏まえた制度設計ワーキンググループ」は、小売電気事業者を対象に実施した足元の供給力確保の現状に関するアンケート調査の結果を発表した。

» 2026年09月25日 07時00分 公開
[梅田あおば,スマートジャパン]

 電力の小売全面自由化以降、短期の電力取引を行うスポット市場の取引量は需要の3割程度に増加した。一方でその市場価格が高騰した際には、小売電気事業者の撤退による小売契約の解除や、多くの需要家に最終保障供給への移行を強いるなどの混乱も生じた。

 このため、「電力システム改革の検証を踏まえた制度設計ワーキンググループ」では、「需要家に対する安定・継続した電力(kWh)の供給ができる事業環境の実現」を目指し、2030年度供給計画から、小売電気事業者に「量的な供給力(kWh)」の確保を求めることとした。具体的には、実需給の3年度前(N-3年度)に各小売電気事業者における過年度の販売実績の5割、実需給の1年度前(N-1年度)に過年度の販売実績の7割の確保を求める(小規模事業者はそれぞれ2.5割、5割)こととしている。

図1.量的な供給力(kWh)の確保のイメージ 出典:電力システム改革検証制度設計WG

 これを踏まえ、資源エネルギー庁の「電力事業環境整備ワーキンググループ(WG)」では、本制度の詳細検討を進めており、その第4回会合では、小売電気事業者向けアンケート調査の結果が報告された。

kWh確保に関する小売電気事業者アンケート調査の結果

 エネ庁は、小売電気事業者のkWh確保の実態などを把握することを目的として、本年6月〜7月に、全ての小売電気事業者(813者)を対象にアンケート調査を行った。回答数は425者であるが、実際に小売供給を行っている事業者の実態を分析する観点から、販売実績がゼロである事業者の回答は集計対象外として、有効回答数は356者であった。

表1.アンケート回答事業者の販売電力量 出典:電力事業環境整備WG

 2030年度に開始される新たなkWh確保義務制度において、「小規模事業者」とは年間販売電力量が5億kWhを下回る事業者と定義しており、今回のアンケートに回答があった小売電気事業者のうち、約8割が小規模事業者に該当する。

 まず、kWhの事前確保について、この設問の有効回答341者(全体)のうち、実需給年度の3年度前の時点で当該年度の予定販売電力量の30%以上を事前確保している事業者は約2割である一方、約6割の事業者は全く事前確保を行っていない。

 また、実需給年度の1年度前の時点では、当該年度の予定販売電力量の50%以上を事前確保している事業者は全体の4割弱に増えるが、全く事前確保を行っていない事業者も4割弱存在する。

図2.小売電気事業者のkWh事前確保の状況(全体) 出典:電力事業環境整備WG

 これを小売電気事業者の規模別(5億kWh以上/それ未満の小規模)に分けて集計したものが図3である。年間販売電力量5億kWh以上の小売電気事業者では、3年度前からその予定販売電力量の30%以上を事前確保している事業者は3割弱であるが、0%の事業者も4割弱存在する。小規模事業者では、3年度前に予定販売電力量の30%以上を事前確保している事業者は2割弱、0%の事業者が7割弱である。

 また、1年度前時点では、5億kWh以上の事業者では50%以上を事前確保している事業者数は5割を超え、小規模事業者でも4割弱となる。ただし、いずれも事前確保率0%の事業者が存在する。なお、図3の下段(1年度前)は、5億kWh以上/それ未満の小規模では、グラフの集計区分が異なることに留意願いたい。

図3.小売電気事業者のkWh事前確保の状況(規模別) 出典:電力事業環境整備WGから筆者作成
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