「聖闘士星矢」「ルパン三世」……、懐かしいアニメ復活の真意映画ウラ事情

» 2012年04月18日 11時31分 公開
[安保有希子,ハリウッドチャンネル]
クランクイン!

「映画ウラ事情」とは:

映画専門サイト「ハリウッドチャンネル」で連載中の、映画業界のウラ側や疑問を読み解く納得のコラム(※この記事は、ハリウッドチャンネルより転載しています)。


ハリウッドチャンネル 「聖闘士星矢」「ルパン三世」のテレビアニメがスタート(公式サイトスクリーンショット)

 4月1日からテレビ朝日系列で「聖闘士星矢Ω(セイントセイヤ オメガ)」(毎週日曜朝6時30分放送)がスタートした。同作は「聖闘士星矢」生誕25周年を記念して制作されるもので、ペガサスの青銅聖闘士・光牙を主人公にしたオリジナルストーリーが展開していく。

 だが、完全なオリジナル作品とはいえ、「聖闘士星矢」と聞いて懐かしがる人がいるのも、また事実。それゆえ、「海賊戦隊ゴーカイジャー」に「ゴレンジャー」や「バトルフィーバーJ」「電撃戦隊チェンジマン」など、懐かしのヒーローゲスト出演していたように、聖闘士星矢Ωでも、1986年版聖闘士星矢のキャラクターがゲスト出演し、往年のファンを取り込む戦略を見せる。

 そもそもこの聖闘士星矢とは、1986年〜1989年に渡ってテレビアニメが放送され、小学生をターゲットとしながらも、美少年キャラが受け、女子高生にも人気が飛び火していたという背景がある。そう、当時の女子高生はアラフォー世代。小学生の子どもがいてもおかしくない年齢なのだ。

 関係者によると、「イケメン俳優が演じるヒーローものの熱烈ファンは、実は子どもではなく、その母親です。それと同様、『聖闘士星矢Ω』も、母親と子どもが一緒に楽しみつつも、本気でハマっているのは母親という図式になると思います。また、当時『聖闘士星矢』のキャラクターグッズはかなり売れましたから、そこも期待できるはずです。子ども向けのオモチャから精巧な高額フィギュアまで、いろいろ出てくるのではないでしょうか」。

 そして、23年ぶりに聖闘士星矢が蘇ったように、27年ぶりにテレビアニメシリーズとして復活するのが「ルパン三世」だ。こちらは、「LUPIN the Third 〜峰不二子という女〜」(日本テレビ系列、4月4日から毎週水曜深夜1時29分放送)のタイトルで、峰不二子を軸に若きルパンの活躍を描いていくもの。本作関係者によると、「本作は原作漫画に近い形となっており、メインターゲットは40〜50代の男性」とのこと。これまでのスペシャル版ルパンのファンを合わせると、裾野が広がった形になるだろう。

 別の関係者は、こう話す。

「深夜アニメは活況ですが、決まった層しか観ないのが現実です。それはそれでCMが入ったりもするのですが、若年層はDVDやブルーレイのソフトを購入しない傾向が強く、このままでは正直厳しいですよね。ですが、30代後半以上というのは、ソフトを多く購入してくれる層。そこを取り込むには、“懐かしい”をキーワードに展開するのが一番だと思います。だからこそ、『聖闘士星矢』や『ルパン三世』はマニア心もくすぐれ、最適ではないでしょうか」

 いろんな意味で、乞うご期待の2作品である。

映画ライター:安保有希子

1975年生まれ。夕刊フジ、日経エンタテインメント、DVDレビューなど、新聞・雑誌で執筆する傍ら、ラジオで映画コメンテーターを務める。ジャンルを問わず映画を鑑賞するが、好んで足を運ぶのは、B級とホラーとアニメ。そのため、オタクと勘違いされやすいものの、決してそうではない、と頑なに言い張っている。


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