コカ・コーラの工場で「グラソー ビタミンウォーター」の作り方を見てきた大人の工場見学(3/3 ページ)

» 2012年12月06日 16時00分 公開
[宮田健,Business Media 誠]
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20時間でライン変更、多品種展開を支える日本のスゴワザ

グラソー 最終工程。この後箱詰めされたグラソーはパレットに載せられ輸送準備へ

 日本の工場は、その製品ラインコントロール技術において世界から注目されているそうだ。確かに日本コカ・コーラではコカ・コーラやファンタといった炭酸飲料、ジョージアの缶コーヒー、お茶だけでも爽健美茶や綾鷹など複数のブランドを持っている。ここまで多品種展開するのは日本くらいだとか。

 これらのボトルの多くは異なる形をしているし、製造時の温度管理などは製品によって異なる。品質を落とすことなくライン切替を実施する技術において日本は進んでいるということで、海外からひんぱんに視察する人が訪れるという。

 ラインを切り替えるには、単純に機械の配置を変更するだけでは済まない。扱うボトルの大きさ、梱包する箱の大きさも変わる。だから、すべての機械で調整が必要なのだ。

 これだけの作業には、さぞかし長い時間がかかるのだろうと思っていたら、クリーニングも含めて20時間程度で完了してしまうという。もちろんラインの始動前、始動直後は人の手によりチェックが行われる。

グラソーグラソー (左)ラインが動き始めた直後、ボトル内の温度が正しい範囲にあるかチェックが行われていた。ボトルに注入された直後は90度近い状態だ(右)写真の左側にある白いくし状の物体は、異なるサイズのボトルを扱うライン向けのもの

一番の自慢は「水を磨く」こと

 「水を磨く」という工程が、日本コカ・コーラにはある。これは、各国の水道法などの法律で定める基準と、コカ・コーラがグローバルで定めている品質基準のうち、より厳しい基準をクリアするために230もの検査項目を基に特殊なフィルターを使って水を濾過(ろか)するなどして、同じ品質に保つことを指している。

 これはグラソーであっても、コカ・コーラであっても、コーヒーやお茶であっても同様だ。どの国で製造されたとしても同じ基準をクリアしたコカ・コーラ社製品が安全に飲めるというわけだ。

 ただ、工場の人が「これが一番自慢できる」というこの工程、タンクが並んでいるだけなので工場見学的には地味なのだ……。こうして合成着色料、香料、保存料が使われていないのに、カラフルなグラソー ビタミンウォーターが毎日作られているのだった。 

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