マツダ アテンザ乗り比べ、好みのアテンザはどれだ?車は乗らなきゃ分からないことだらけ(3/3 ページ)

» 2013年02月05日 09時08分 公開
[popo柿澤,Business Media 誠]
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ディーゼルエンジンか、ガソリンエンジンか?

 アテンザには、全部で3種類のエンジンが用意されている。SKYACTIV-Dが2.2リッターのディーゼルエンジン。SKYACTIV-Gが2リッターと2.5リッターのガソリンエンジンだ。

 SKYACTIV-Dのエンジン音は、クルマ好きな人がそれを聞けば「あ〜、ディーゼルだね!」とすぐに分かる。しかし、運転席と助手席で明らかに音の聞こえ方が違ってくる。明らかに助手席の方が静かなのだ。これは、ドライバーがクルマを操っている感覚を得るための演出として、運転席側に少しエンジン音が入りやすい設計になっているのだ。

 トルク感とパワー感については、各メディアで絶賛されているとおり。高回転までスムーズに回るエンジンは、ガソリン車と比べてもひけをとらない。高速道路の巡航などでは、多少の坂道があってもシフトダウンすることもなくグイグイと上っていく。

 その結果、回転数がむやみに上がることなく、車内はいたって静かだ。アップダウンの多い高速道路では、むしろガソリン車より静かに感じられる。だが、低回転時の音はやはりディーゼル特有のガリガリという音が出てしまう。加減速が多い街乗りメインになると、静かなクルマになれている人にとってはうるさく感じるかもしれない。別の機会にハイブリッドカーに乗る友人を同乗させたが「やっぱりうるさいねー。いやだな、この音」と言われた。

 排気量の違うSKYACTIV-Gもそれぞれ試乗した。まずはSKYACTIV-G 2.0を搭載したモデル。車体の大きさから「2リッターのNAじゃ満足できないんじゃないの?」と思い込み試乗したが、それは見事に裏切られた。

 小気味よく回るエンジンは街乗りレベルでは不満を感じることはない。SKYACTIV-D搭載モデルから乗り換えれば、当然エンジン音も静かだ。そして何より、コーナーにさしかかりステアリングを切った瞬間に「わ、軽いっ!」と、クルマの軽さを感じられるのだ。

 なぜなら、SKYACTIV-D搭載モデルと比べて80キロも車両重量が違う。やはり軽さは武器である。軽いがゆえにエンジンパワーに不満を感じることなく、さらにスポーティさを感じられる。街中を小粋に走るならこのモデルだろう。ただし、高速道路ではパワー不足。ロングツーリングにはあまりお勧めできない。

 一方、SKYACTIV-G 2.5はアテンザから投入された新開発エンジンだ。正直にいって、このモデルが一番バランス良く感じられた。エンジンのパワー感もそれなりにあり、車重もSKYACTIV-D搭載モデルに比べると60キロ軽い。NAエンジンの反応の良さ、回転フィールの良さ、スポーティ感など、先ほどの2モデルの良いとこ取りをしたような仕上がりになっている。

 SKYACTIV-G 2.5の残念なところを挙げるとしたら燃費。JC08モードでリッター15.6キロだ。一般的な2.5リッターエンジンと比べればかなり良い数値だが、同じアテンザで比べるとSKYACTIV-D搭載モデルが20.0キロ。燃費計の数値となるが、同じコースを走ったところリッター4キロの差が出ていた。これに加えてガソリンと軽油の価格差を考えると、維持費はだいぶ変わってきそうだ。

どのモデルでもハズレがない本当に良いクルマ

 エンジンやボディの形状により「ここまで差を感じられるのは珍しいのでは?」と思うくらいにそれぞれのモデルが個性豊か。アテンザを何台も試乗したのに実に楽しくあっという間に時間が過ぎた。これこそがマツダがこだわる「走る歓び」なのだなと筆者は思う。

 自分が普段どのようなクルマの使い方をしていて、どのようなクルマを求めているのか? それを把握したうえで、自分に合ったモデルを選べば、どれを選んだとしても後悔はしないだろう。しかも、SKYACTIV-G搭載モデルが250万円〜、SKYACTIV-D搭載モデルが290万円〜と、フラグシップモデルとは思えないリーズナブルな価格だということも付け加えておこう。

 ただ、日本市場にとって残念なのはボディサイズ。全幅1840ミリというのは、多くの立体駐車場ではギリギリのサイズ。入ったとしても極めて駐車しにくい。自宅に広い駐車場があれば良いが、どうしてもサイズが原因で買う人を選びそうなクルマともいえる。多くのディーラーでは、実際に駐車可能かどうか試させてくれることが多いので相談してみるといい。

 「クルマはただの移動手段。人が乗れて物が運べればそれでよし!」と、思っている人にも、アテンザはぜひ乗ってみてほしいクルマだ。そして、クルマに乗ることの楽しさを実感してもらいたい。なぜなら、クルマは乗らなきゃ分からないことだらけなのだから。

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