旅客機を安全かつ時刻表通りに送り出す「グラハンさん」：JALの舞台裏（4/4 ページ）

[岡田大助，Business Media 誠]

トーイングカーによるプッシュバックは職人技

　機内で清掃とケータリングサービスの補充が行われたころ、荷物室では機内預け荷物の積み込みが行われていた。積み下ろし同様、ベルトローダーを使った手作業だ。

荷物の積み込みも手作業だ。遅れて1つ荷物が届いたのち、扉が閉められた

　しばらくして荷物室の扉が閉められた。出発準備が整ったようだ。機体前方からトーイングカーが接近し、前輪とバーを接続する。客室の扉も閉められ、ボーディングブリッジがゆっくりと離れていく。

決して「ガシャン」とぶつけない

　定刻通り。一般的に旅客機は自らバックしない。トーイングカーがゆっくりと737-800を押し出していくのだ。駐機スポットから誘導路に出た機体からトーイングバーの接続が解除される。3人の地上スタッフのうち、1人が赤い帯状の布をコックピットに向けて掲げている。機体が自力で動き出す準備が完了した合図だ。

　機体が動き出すと、3人のスタッフが客席に向かって手を振った。良い旅を。彼らは心から祈っている。