ドイツのフランクフルト空港には、通常の旅客ターミナルからちょっと離れた場所に、世界でも珍しいファーストクラスの利用者だけの専用ターミナルがある。運営するのは、同空港をハブ拠点とするルフトハンザだ。その内部では、まさに“究極”ともいえるサービスが展開されている。今回は一般の人たちは絶対にのぞき見ることのできないこの施設に、読者のみなさんをお連れしよう。
まずは、2つ質問したい。欧米などへの長距離路線で、上級クラスを利用するにはどれくらいの料金がかかるのか? 答えは……、正規料金で見ると「ビジネスクラスでエコノミー席のざっと10倍、ファーストクラスだと15倍」といったところ。では、続いてもう1つの質問。それだけ高いお金を払って、利用者はその金額に見合うだけの満足のいくサービスを受けられているのか?
2つ目の質問の答えは、ちょっと難しいところだ。私がこれまでファーストクラスの利用者たちに聞いた中では、例えば「機内ではシートもゆったりしているし、食事も豪華で、客室乗務員の対応もいい。ただ、飛行機の乗るまでの時間がねぇ……」と嘆く声が少なくない。空港に到着してチェックインし、長い列に並んでセキュリティチェックを受け、ラウンジで一休みしたあとは出発便の搭乗ゲートでまた少し待たされて──つまり「飛行機に乗るまでの煩わしさが、一般客とほどんど変わらないではないか」というのが彼らの言い分なのだ。
そうした利用者たちの声に早くから真剣に耳を傾けてきたのがドイツのルフトハンザで、同社は2004年12月、ハブ拠点であるフランクフルト空港に「ファーストクラス専用ターミナル&ラウンジ」を開設した。
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